大手企業を“狙い撃ち” 新たなインサイドセールス「BDR」を成功させるポイントとは(4/4 ページ)
昨今アウトバウンド型(企業が接点のない顧客にアプローチする営業手法)のインサイドセールス「BDR」(Business Development Representative)に取り組む企業が増えている。BDRは、自社が狙いたい企業を“狙い撃ち”して、長い期間を掛けて受注を勝ち取る手法だ。本記事では、BDRの特性や注目されている背景、実際に取り組むうえでの注意ポイントを解説する。
「戦略コンサルタント」や「編集者」のように振る舞う
営業活動というと迷惑に思えるかもしれないが、実は大手企業の重役は情報を求めていることも多い。経営の意思決定は多様な情報やノウハウ、選択肢やテクノロジーを考慮して合理的に下したい。だからコンサルティング会社と契約したり、経済メディアを購読したりしている。経営に関する新しい情報なら歓迎だ、というケースは多々ある。
筆者の知り合いの大手企業役員の方も、非常に勉強熱心だ。よく本を読んだり、交流会に参加したりしている。私に読んだ雑誌の感想を送って来る方もいる。
その情報ニーズに応える高品質な情報提供をするスキルがBDRでは必要だ。「私は御社にとって専門の戦略コンサルタントであり、情報メディアである」と、胸を張って言える状態でなければいけない。そう言い切れるだけの鍛錬として、日頃から自社の専門領域や、各業界の情報収集をするべきである。
優秀なBDRは業界ごとの最新トレンドを細かく押さえて商談用のトークに転換できる。世の中、顧客、自社のコンテクストをつなぐ言語化力が重要だ。
つまり、マーケターや編集者のような、相手に伝えるためのコミュニケーション力がBDRには必要なわけだ。大手企業の役職者が普段読むメディアをイメージしながら、表現、専門用語、格式、デザインなどを押さえたフォーマットで連絡する。
ある外資系企業は、BDRの手紙の文字フォントやレイアウトなども指定があった。相手に合わせる心配りは、やればやるほど返信率が上がる。戦略コンサルタントがPowerPoint資料の一言一句までこだわるのと同じように、BDRも顧客から見られるあらゆる所作を磨かなければならない。
BDRを成功させられるのは、専門性が高く、大手企業と大きな取引価値を生み出せる組織である。記載の通り、専門性や配慮は細かく、時間をかける必要がありハイコストだ。しかし、その分、大手企業と大きな取引が決まれば、ハイリターンを見込める。BDRは顧客との大きな絵を描き、取引を拡大させる一歩なのだ。
筆者プロフィール:藤島 誓也 株式会社openpage代表
株式会社ビズリーチにて当時日本で一早くカスタマーサクセスチームの立ち上げを経験し、2018年株式会社openpageを設立。顧客取引のDXソリューション「openpage」を提供、米国流のカスタマーサクセスやセールステックについて最先端の情報を国内で広く啓蒙する。
著書に「実践カスタマーサクセス BtoBサービス企業を舞台にした体験ストーリー」(日経BP、2023年)
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