なぜ、キットカットは日本だけ「40種類」もあるのか? 爆買いされるのに「外国人ウケ」は決して狙わないワケ(2/3 ページ)
インバウンドに大人気なあのお菓子。商品開発の裏側は。
大量のフレーバーを展開するようになったきっかけ
ある種の“ガラパゴス的進化”を遂げた日本のキットカットだが、多様なフレーバー展開のきっかけは、2000年に発売した「ストロベリー(イチゴ味)」にさかのぼる。
当時は小売り業界でコンビニ業態が急速に成長した時代でもある。短いサイクルで棚の商品を入れ替え、新鮮な売り場を保つコンビニの戦略に合わせ、キットカットも目新しいフレーバーを出そうということに。
「1980年代までは、キットカットは量販店で家族向けに大袋を販売していました。しかし、企業として当時から日本の少子高齢化は懸念していました。つまり、日本における“胃袋のサイズと数が激減する”ことは分かっていたんですね。その上でチョコレート菓子メーカーとして生き残ることを模索しているタイミングでした」
こうしたなか発売した「ストロベリー」が爆発的にヒット。「棚に置いたそばから売れていく」(藤井さん)状況だったという。
この成功をきっかけに、フレーバー展開の多様化に舵を切ることになる。
その後、2002年にはご当地限定のキットカット「夕張メロン味」を発売し、2003年には今でも続いている「受験生応援キャンペーン」を開始。2008年ごろからはご当地キットカットを本格的に拡大させていった。
フレーバーの多様化に加えてもう一つ大きな変化があった。それは「高付加価値化」だ。受験生応援キャンペーンに成功によって、キットカットは「コミュニケーションツール」としての機能を獲得した。ご当地商品についても「地域経済を応援する」という共通するコンセプトがあるという。単なるお菓子という枠を越えて、意味付け・付加価値をつけた商品展開に舵を切っていったという。
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