ニコニコ障害で「仮」サイト好評 往年ネット民が“失って気付く”価値:けがの功名?(1/4 ページ)
ニコニコ動画は大規模なサイバー攻撃によってサービス停止を余儀なくされた。しかし、この事件によってユーザーが気づいた価値もある。
6月8日、ニコニコ動画は大規模なサイバー攻撃によりサービスが停止した。この攻撃は、ランサムウェア、DoS/DDoS、フィッシングなど多様な手法を用いたもので、KADOKAWAグループ全体のITシステムに影響をもたらした。これにより、ニコニコ動画やニコニコ生放送などのサービスが利用不可能となり、直近の同社の発表によると復旧には最低1カ月以上かかる見込みとしている。
同社が発表した動画によると、サーバの中身を1つずつ確認し、無事なデータを救出し、安全な環境でシステムを再構築する必要があり、これには多大な時間とリソースが必要だという。また、現時点でクレカ情報などの情報漏洩(ろうえい)は確認されていないが、オンプレミス環境にあるデータの大半が攻撃の影響で利用できなくなり、復旧には一からサービスの再構築が必要だと説明している。
株価の下落と業績への影響
サイバー攻撃の発生から、KADOKAWAの株価は3365円から一時15%以上値を下げて2852円まで売り込まれた。現在も攻撃発生前の10%以上マイナスで推移している。ここ最近のKADOKAWAの株価は上昇トレンドにあり、時価総額は5000億円に迫る勢いであった。しかし、本件によって500億円以上の時価総額が吹き飛んでしまった形だ。
時価総額と単純比較こそできないが、本件を金額規模だけで比較すれば、DMMビットコインにおける約480億円相当のビットコイン流出騒動に引けを取らない。近年ではサイバーセキュリティに関する事案で数十億円から数百億円の損失が発生する事例も珍しくない。これらは、日本におけるサイバーセキュリティの重要性を認識すべき二大事案と捉えてよいだろう。
今回のサイバー攻撃による業績への影響は、ニコニコ動画やニコニコ生放送の停止、ひいては広告収入やプレミアム会員の収益に直接的な影響を及ぼした。復旧までの期間が長引けば、サーバの再構築に伴う人件費負担の増加や、ユーザーの離脱に伴う中長期的な業績不調につながりかねない。
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