なぜクルマのコーティングが人気なのか ユーザー心理を利用する術:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
カーディテイリングビジネスが活況だ。日本では1980年代から徐々に市場が拡大。コーティング技術や洗車機の性能も向上し、安心できるサービスになっている。需要に応じて形を変えながら、さらに発展していきそうだ。
自動洗車機も不満解消へ、機能を向上
1980年代ごろからコイン洗車場が普及した理由の一つに、自動洗車機への不満があった。それは硬い樹脂製のブラシでボディをこすることにより、磨き傷ができてしまうことだった。一方、時間がかかり費用もかさむガソリンスタンドの手洗い洗車を選ぶこともためらわれた。洗車難民となっていたクルマ好きにとって、コイン洗車場で好きなように洗車できる環境が得られたことは、大いに歓迎されたのだ。
しかし自動洗車機メーカーも開発の手を緩めていたわけではなかった。硬い樹脂製のブラシでは需要が伸び悩むことが分かると、洗車ブラシの開発にも力を入れた。
高圧水流を使ったノンブラシ洗車機を経て、最近はソフトなスポンジ製、あるいは不織布を使った布製のブラシが主流になっており、以前と比べるとボディに磨き傷が付きにくくなっている。さらに、ボディをガラスコーティングすることにより、洗車による磨き傷の発生は解消できるようになった。
撥水効果の高いコーティングなら、雨の日に走行すると日中に付着したほこりなどが洗い流され、通常の汚れであれば洗車しなくても落ちてしまうほどだ。洗車の手間や費用を軽減できるのも大きなメリットだと感じているユーザーも少なくない。
クルマの高額化、車齢の長期化、メンテナンスフリー化もカーディテイリングビジネスの需要を高めることにつながっている。
特に新車価格が上昇している現在、よりクルマを大事にして長く乗り続けようという意識も高まっている。そのため美観を維持するためにコストをかけるユーザーが増えているのだ。その上、洗車機で洗うだけで光沢を維持してくれるのだから、タイパ(タイムパフォーマンス)を重視する向きにも満足度が高いサービスなのである。
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