なぜクルマのコーティングが人気なのか ユーザー心理を利用する術:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
カーディテイリングビジネスが活況だ。日本では1980年代から徐々に市場が拡大。コーティング技術や洗車機の性能も向上し、安心できるサービスになっている。需要に応じて形を変えながら、さらに発展していきそうだ。
コーティング技術も進化
コーティング技術の向上もカーディテイリング業界を大きく成長させた要素だ。当初導入されていたポリマーコーティングからガラス系やセラミック系のより硬い被膜を形成できるコーティングへと進化していった。
ポリマーコーティングでは下地を仕上げてから、コーティング剤を塗布し、さらに回転式のポリッシャーで磨きながら加熱することで被膜を作り上げる職人技が必要とされた。だが、ガラス系のコーティングでは塗布するだけで硬化し、強固な被膜が出来上がる。
ということは、職人技など無用になったと思われるかもしれないが、そうした高硬度のコーティング被膜を形成できる材料を扱うためには、均一に塗布する技術だけでなく、塗装面を磨いて下地を仕上げる技術なども必要。やはり高い技術が求められるのだ。
それだけに、全体の費用に占める技術料の割合が高くなりがちだ。材料の原価はそれほど高くなく、収益性が高いから、ガソリンスタンドや専門店、中古車販売店、新車ディーラーまで、こぞって導入しているのである。
ユーザーにとってはボディの光沢感や撥水効果が長期間保たれるだけでなく、長期的な保証も備わる(ただし定期的なメンテナンスを受けることが条件である場合が多い)ので、高価であっても納得できる安心のサービスとして確立されつつある。
最近は塗膜表面が紫外線、酸性雨、黄砂によって侵食されるようになってきた。気候変動による高温環境に加え、樹脂部品の採用増加や水性塗料の採用など、耐久性が不安視される要素もあり、クルマを保護する必要性は高まっている。
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