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「デジタル限定クーポン」は消費者に不誠実か? 米国で議論、日本はどうあるべきか:小売りの「マーケティングDX」成功の鍵は(5/5 ページ)
どんなアセットを用意してどんな施策を展開するべきか。重要なポイントを解説する。
求められるのは顧客と“どうつながるか”
ここまで、小売りにおけるマーケティングDXの展開をご紹介してきましたが、求められているのは顧客と“どうつながるか”です。
顧客の購入履歴から好みを把握し、インサイトを見つけ出し、パーソナライズされたオファーを届ける。個人商店の規模であれば、常連の好みに合わせた買い物の提案や値引きは店主の判断で柔軟に行えるでしょう。常連もきっとその店に通うことが楽しみになるはずです。
システマチックなチェーンストアでもこういった体験を創出するためには、顧客のIDデータベースを基にしたマーケティングが選択肢に入ります。この精度は磨けば磨くほど高まり、対応する従業員によってクオリティーが変化するようなことも起こりません。
日々来店する消費者に通り一遍の対応を行うか、それともパーソナライズされたコミュニケーションでつながろうとするか。DXが進んでいったとしても、求められているのは顧客とのつながり方です。
著者プロフィール:松田伊三雄
カタリナマーケティングジャパン 取締役副社長 Chief Operating Officer
国内大手アルコール飲料メーカー及びグローバル消費財メーカーにて流通企画、ブランディング、営業・戦略部門を統括。国内大手GMS及びCVSのマネジメントも経験、ウォルトディズニージャパンでブランドライセンスによるマーケティングサポートのマネジメントを経て2019年カタリナマーケティングにVPとして入社。CMO、取締役CCOを経て2024年6月より取締役副社長COOとしてリテールメディアエリアを統括。
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