自動車の「雹」被害を防げ ディーラー向けに予報アラート、損保ジャパンが実証実験
損保ジャパンは2024年9月から11月まで、雹(ひょう)が予測される自動車ディーラー各店舗と損保ジャパンの営業店を対象に、雹災による自動車の損傷被害軽減に向けた実証実験を実施する。ウェザーニューズ(千葉市)との協業。
損保ジャパンは2024年9月から11月まで、ウェザーニューズ(千葉市)と共同で、雹(ひょう)が予測される自動車ディーラー各店舗と損保ジャパンの営業店を対象に、雹災による自動車の損傷被害軽減に向けた実証実験を実施する。
降雹による大規模な被害は北関東地域で多く発生しているほか、2024年4月には兵庫県を中心に大きな被害が出るなど、全国で課題となっている。中でも自動車の損傷については、修理依頼が殺到してしまい完了まで長期間かかるケースや、成約済みの自動車を納車できないケースが発生しているという。
こうした状況を背景に、損保ジャパンは顧客に降雹の危険をスマートフォンで通知し、被害の回避行動につなげる実証実験を開始するに至った。雹の発生は要因が多岐にわたるため、予測難度が高いとされているが、気象情報会社のウェザーニューズと協業することで、精度の高い情報を提供したい考えだ。
実証実験は9〜11月の3カ月間実施。ウェザーニューズが企業向けに提供する気象情報アプリ「ウェザーニュース for business」を、自動車ディーラーの各店舗と損保ジャパン従業員のスマートフォンに導入する。アプリを通じて、降雹の危険が予想される時間帯の30分前から3時間前にプッシュ通知でアラートを送信。屋外に駐車している自動車を屋内に避難させるといった、被害の回避行動との連動について検証するという。
雹の発生リスクは、降雹の36時間前からアプリ上で確認できるため、前日から対策を検討することができるという。加えて、台風や雨雲・落雷の接近などのアラートも送信する。これにより、さまざまな自然災害からの被害の回避行動につなげたいという。
損保ジャパンは今回の実証実験の結果をふまえ、自動車ディーラーの顧客に限らず、さまざまな法人や個人顧客も想定して、自然災害に関するアラートサービスの展開を検討していくとしている。また、雹災による保険金支払データをウェザーニューズと共有することで、降雹の予測精度向上の可能性も検証していくという。
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