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チョコザップのステマ問題、消費者庁が措置命令――「広告」と明示してもファンに愛されるには(1/3 ページ)
この事件は、企業と消費者の間における信頼関係の在り方を問い直すものである。
消費者庁は8月8日、「chocoZAP(チョコザップ)」を運営するRIZAPグループに、景表法違反で再発防止を求める措置命令を出した。インフルエンサーによる投稿をPRなどの記載をせずに自社サイトに転載したことで、あたかも個人の意見のように見せかけた「ステルスマーケティング(ステマ)」と見なされたのである。
この事件は、企業と消費者の間における信頼関係の在り方を問い直すものであり、インフルエンサーを活用したSNSマーケティングの透明性に疑問を投げかけた。
「口コミ」効果を狙った広告施策 企業が抱えるジレンマ
当然ながら企業はインフルエンサーマーケティングにおいて、広告表示の透明性を確保しなければならない。一方で消費者に「広告」と認識されると、広告効果は薄れる可能性がある。
マイボイスコムが発表した「ネット上の口コミ情報に関するアンケート調査(第6回)」によると、商品・サービスなどを購入・利用する時に、インターネット上の口コミ情報を参考にする人は、「かなり参考にする」「まあ参考にする」を合わせて55.1%。女性10〜30代では70〜80%という結果となった。
この事実は、消費者が信頼するのは企業の広告よりも、友人や知人、または信頼する第三者からの「口コミ」であることを示している。
とはいえ、ステマは決してやってはならないのは事実だ。ステマはブランド価値を毀損し、消費者からの信頼を失う。法的制裁を受ければ企業のブランドイメージは著しく損なわれるだろう。
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