「冷やしシャンプー」はなぜ生まれた? 背景に「1000円カット」台頭と、厳しい暑さ 山形県外にも拡大しているワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(2/5 ページ)
山形県で誕生した「冷やしシャンプー」。現在は山形県以外にも拡大している。その背景とは?
熊谷で導入された経緯
ハル理容院はJR高崎線と新幹線・秩父鉄道の熊谷駅から、歩いて7〜8分ほどの市街地の中にある。熊谷市は埼玉県北部の中心都市で、人口約19万人を数える。海なし県の埼玉のより内陸にあるので、夏は暑く、冬は寒い。特に夏の暑さは日本最高レベルで、市では市民の気持ちの熱さ、人情の厚さも加味して「あついぞ!熊谷」をキャッチフレーズにPRを行ってきた。
暑さを強調しすぎたことで人々が敬遠するようになり、人口が減少したという意見もあったことから、2018年度からは「暑さ対策日本一」をアピールする方向にかじを切っている。
暑さ対策としてのサービスである冷やしシャンプーが、この熊谷の地で始まったのは2010年。きっかけは、熊谷市が日本最高気温を更新したことだ。ハル理容院代表の間室智宏氏が、同業者から紹介されて、冷やしシャンプーを考案した「メンズ・ヘアリズム」の大沼幸市氏より、正式な「ひやしびと」の講習を受けて、直々に伝授された。講習のために、大沼氏が山形から出張して来たとのことで、ひやしびとの冷やしシャンプー普及に対する力の入れようが分かる。
冷やしシャンプーは2009年に商標登録されており、認定された店しか使えない。ハル理容院は晴れて冷やしシャンプー提供店を名乗れるようになった。
冷やしシャンプーの定義として、メントールのシャンプーを冷やして使わなければならないが、どの商品でなければならないという決まりはない。
ハル理容院では2023年、オリジナルの「クマガヤシャンプー」を開発。薬事法の範囲内でメントールの爽快感が最大になり、かつ髪に良い成分である11種類のアミノ酸を配合している。髪につやを付与し、パサつきを抑える効果があるとのこと。
「女性でも使ってもらえ、全身も洗えるシャンプーをメーカーと開発した」と、間室氏。昭和感あるパッケージのデザインも自ら手掛けた。
また、ガスボンベから炭酸を水道水に送り込んで炭酸水をつくる、炭酸泉システム「T2sys」を導入。炭酸水により爽快感がアップするだけでなく、洗浄力強化、血行促進なども期待できるという。
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