「冷やしシャンプー」はなぜ生まれた? 背景に「1000円カット」台頭と、厳しい暑さ 山形県外にも拡大しているワケ:長浜淳之介のトレンドアンテナ(4/5 ページ)
山形県で誕生した「冷やしシャンプー」。現在は山形県以外にも拡大している。その背景とは?
冷やしシャンプー誕生の背景
冷やしシャンプーはどういった背景で生まれたのだろうか。
ひやしびと代表の植松行雄氏によれば、「山形の夏が非常に暑く、お客さまにひとときの涼を届けたいというのもあるが、当時台頭してきた1000円カットに対抗できるサービスとしてシャンプーに着目した」とのこと。
「QBハウス」のようなヘアカット専門にすることで、低価格を実現した理容サービスが普及する中で、シャンプーからの差別化を図り、山形の猛暑の夏を快適に乗り切ってもらうといった趣旨で始まったわけだ。山形市のメンズ・ヘアリズムの大沼氏が1995年頃、夏季のサービスとして開発した。
山形には、郷土料理の「だし」や「冷やしラーメン」、河北町の名物「冷たい肉そば」など、冷やし文化が根付いているが、冷やしシャンプーもそういったサービスの一つだ。
冷やしシャンプーを提供する店が山形市を中心に県内に広がり、2004年にはひやしびとが結成された。県内約300店が、「冷やしシャンプーはじめました」と白抜きの文字で書かれた、青い幟を店の前に掲げてサービスを行っており、山形の夏の風物詩になっている。
NHKなど国内のテレビだけでなく、海外メディアからの取材も多い。提供期間は6月18日〜9月18日だ。
熊谷をはじめ、東京など各地、さらにはベトナムのハノイにも冷やしシャンプーの文化は広がっており、山形流ではないその店で考案した方式で施術を行うところもある。
各店各様の冷やし方がある。前出・植松代表のミヨシ理容室では、冷えたシャンプーの液体をバーのバーテンダーのようにシェイカーに入れ、カクテルグラスに注いで髪を洗い、冷凍庫でシャーベット状に凍らせたトリートメントで髪をケアする。締めはキンキンに冷えたヘアトニックで、髪を整える。
他にも、洗髪にかき氷を使うサービスも山形市の「hair booth EXE」などで行われている。
ひやしびとでは、基本独自に開発した、髪に良い成分を含んだ、「冷やしシャンプーはじめました」ブランドのシャンプーとトリートメントを使った施術を行っているが、一般の消費者も加盟店、認定店にて購入が可能としている。
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