2015年7月27日以前の記事
検索
コラム

イオンが手掛けた“謎の百貨店”「ボンベルタ」 密かに姿を消した理由とは?前編(4/4 ページ)

2024年2月、千葉県成田市のある百貨店が姿を消した。流通大手イオングループが手掛けるものの、知名度は皆無。知る人ぞ知る存在だった同店が、イオンの今後の戦略に示した新たな道筋とは。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-
前のページへ |       

「脱百貨店」路線が鮮明に

 イオン自体が高質化する一方、デパートメントストア事業に属していた「ボンベルタ成田」のセグメントは、2007年11月に橘百貨店(ボンベルタ橘)がイオングループから離脱したことで「専門店事業」扱い、2010年2月期には「総合スーパー事業」扱いとなるなど曖昧となってゆく。

 2012年春の全館リニューアルでは、自社独自の会員カード「BonBeltaWAON」の発行による顧客のロイヤルカスタマー化を狙った一方、総合スーパー業態と同等の売り場を大幅に拡大。2018年9月には新たなコンセプトとして「新発見×再発見」を掲げ、1階に「イオンドラッグ」「ホームコーディ」といったイオン直営店、3階に「マックハウス」「ABC-MART」「Seria」といった大型専門店を段階的に導入するなど、脱百貨店路線が鮮明となる。


2012年春のリニューアルにあわせて幹線道路沿いに巨大な「AEON」の看板を新設した(撮影:淡川雄太)

 開業当初からの特徴であった正面玄関前の化粧品フロアや高級衣料フロアは2階に集約するかたちで存続となったが、コロナ禍でオンワードHDが約1400店舗を閉鎖、レナウンが経営破綻した影響を受け、「23区」「自由区」「ダーバン」「シンプルライフ」「イーストボーイ」といった集客力の高い百貨店アパレルを喪失することとなった。

 ボンベルタ成田も北総地域で唯一の百貨店として高齢層を中心に支持を得ていたというが、純利益3億円程度の赤字が続くなど経営状況が芳しくなく、イオンリテールへの吸収合併と新業態「そよら」旗艦店への転換のため、2024年2月28日をもって歴史に幕をおろした。


31年の歴史に幕をおろしたボンベルタ成田(撮影:淡川雄太)

 イオンにとってボンベルタ業態の位置付けが曖昧となっていたこと、日本百貨店協会加盟店のみ百貨店と認識されている状況もあり、同店の閉店は他百貨店ほど報道されることはなかった。

 後編では、ボンベルタに代わる新業態「そよら」の行方を追う。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページへ |       
ページトップに戻る