「優秀だが転職回数が多い」「業界未経験」人材を見極める“4つの質問”(2/3 ページ)
ミドル層の採用で「優秀で申し分ないけれど、転職回数が多いのがネックだな……」といった事態はしばしば起きます。こうしたとき、どのようなポイントを踏まえて考えるべきなのでしょうか。転職などにまつわるデータも用いてミドル層の特徴、またそれを踏まえた採用面接のポイントを解説します。
特徴(1)キャリア観
転職サービス「doda」における40歳以上ミドル層の新規登録者数は増加傾向にあり、2023年の新規登録者数は2018年比で1.5倍以上になっています。
これには、新型コロナ以降、従来の上昇志向が強いミドル層のみならず、働き方改善などを目的に転職を試みるミドル層の増加が影響していると考えられます。また、現職の事業縮小や売却などのキャリアショックを起点として急遽(きょ)、転職に踏み切る転職経験のないミドル層が増えていることも関係しているでしょう。
つまり、転職市場にはこれまで以上にさまざまなタイプのミドル層がいるということです。そんな彼らのキャリア観は、大きく4つに分けられると捉えています。
- 現状維持型:安心できる環境でやるべきことに集中して働くタイプ
- ワークライフバランス型:責任感を持ち他者と協力して働くタイプ
- やりたいこと重視型:組織の中で成長していくことで専門性を切り開くタイプ
- スキル追求型:リスクをコントロールし自己改革のために働くタイプ
企業主体でキャリアを高める維持型傾向の「現状維持型」「ワークライフバランス型」は、組織の中で成長し、経験、スキルを積み上げていく傾向があります。
自己主体でキャリアを高める確立型指傾向の「やりたいこと重視型」「スキル追求型」は、好きなこと、興味があることや自己成長を追い求める傾向があります。ちなみに、従来転職市場に多く出てきていたのは「スキル追求型」でした。
確立型傾向のミドル層は、専門性の追求やさらなる自己成長を重要視しており、かつ多くは転職経験もあるため、自らの経験やスキルをある程度言語化できるでしょう。
しかし、キャリアショックにより突如として初の転職に挑むことになった維持型傾向のミドル層は、職務経歴書を書いたこともなければ、自身のキャリアを十分に振り返ったこともないでしょう。
そんな彼らにスキルや経験の有無を単刀直入に聞いたとしても、実は近しいスキルや経験を有しているのにそれを企業に伝えられず、双方にとって機会損失になってしまう可能性があると考えられます。
特徴(2)自己開示の深さ
パーソル総合研究所の「シニア従業員とその同僚の就労意識に関する定量調査」(参考リンク:PDF)によると、キャリア相談時の自己開示の深さは、40代以降急激に落ちることが分かっています。
社会人経験を重ねると役割上、聞き役に回り、意図的に若手層の話を引き出したり、仕事でも私生活でも決まったコミュニティーとしか接点を持たず、他者との交流が減ったり──。そんな傾向が強くなることが、自己開示しなくなる一因であると考えられます。
このデータから、一定数のミドル層はスキルや経験があったとしても、積極的に自らについて語らない可能性が高いと想定できます。スキルや経験の有無ならば答えられるでしょうが、近しいスキルや経験の有無、業務上の工夫、仕事における興味・関心などまでは自ら語らない可能性があります。
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