KDDI、「コンタクトセンター業務特化型LLMアプリ」始動 東大・松尾研発のイライザらと
KDDI、アルティウスリンク、ELYZA(イライザ)の3社は、業務の効率化やデータ分析を高度化する「コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーション」を開発した。
KDDI、同社と三井物産の共同出資会社アルティウスリンク(東京都新宿区)、生成AI活用基盤サービスを提供するELYZA(イライザ、東京都文京区)の3社は、業務の効率化やデータ分析を高度化する「コンタクトセンター業務特化型LLMアプリケーション(以下、同LLMアプリ)」を開発した。アルティウスリンクが提供するコンタクトセンター向けサービス「Altius ONE for Support」の標準機能として提供する。
左からKDDI SUMMIT 2024に登壇したKDDIビジネス事業本部 プロダクト本部 副本部長の野口一宙氏、フライウィール 代表取締役 CEOの横山直人氏、ELYZA 代表取締役 CEOの曽根岡侑也氏
松尾研発のイライザと開発 サービスの中身は?
同LLMアプリを活用すると、対話要約や文章生成などの業務を効率化し、業務負荷が減る。また、応対履歴データを構造化することで、データ分析を高度化し、サービス品質の向上にも役立つ。
顧客は「標準アプリの提供」「お客さまの業務要件に合わせたカスタマイズ後提供」という2つのパターンから選べるようにした。標準アプリの提供では、リードタイムなしで提供する。業務要件に合わせたカスタマイズの場合は、数カ月程度の構築期間で提供するという。プラットフォーム型のため、コンタクトセンターに必要な同LLMアプリを、顧客企業の課題に応じて組み合わせて提供したり、外部システムと連携したりすることも可能だ。
KDDIは、低遅延や大規模計算基盤の提供と、顧客をサポートしてきた知見を活用する。一方のイライザは生成AI活用基盤サービスを提供。生成AI関連の研究開発力、実用的なLLMアプリの開発やサービス提供を担う。同社はAI研究の第一人者である東京大学の松尾豊教授の研究室から2018年に設立したスタートアップだ。日本語に特化したLLMを開発していて、3月にはパラメーター数700億のLLMを公開している。
一方のアルティウスリンクは国内有数のコンタクトセンター運営ノウハウを提供する。同社は国内・海外約100カ所の拠点と、約5万7000人の多様な人材によるノウハウ・サービス力・技術により、コンタクトセンターやバックオフィスを含む企業の課題解決に寄り添うBPO事業を展開する。人による高付加価値なサービスと、最新のデジタル技術を掛け合わせた「デジタルBPO」によって、顧客により良いコミュニケーション体験を提供している。
3社は協業を加速させ、5月にKDDIが始動したAI時代の新ビジネスプラットフォーム「WAKONX (ワコンクロス)」を通じて、BPO事業の推進を図る。WAKONXは、KDDIのVISION 2030「『つなぐチカラ』を進化させ、誰もが思いを実現できる社会をつくる」に基づき、日本のデジタル化を加速することを目指したビジネスプラットフォームだ。
WAKONXを通じて、最適化したネットワークの設計や構築をし、大規模計算基盤による企業間データの蓄積や融合、分析を実行する。AIを組み込んだサービスやソリューションを最適化して提供することによって、法人顧客の事業成長と社会課題の解決に貢献していく。
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