やっぱりジムニーなのか? キャンプブームが終わっても支持されるクルマ:高根英幸 「クルマのミライ」(5/5 ページ)
キャンプブームは落ち着いたと言われるが、キャンピングカーやアウトドアに使えるクルマの需要はあり、車中泊も定着した。大型車だけでなく、シエンタやジムニーシエラ、軽バンといった車種も支持されている。車内空間を有効に使うユーザーもさらに増えるだろう。
クルマの魅力を開拓し続けなければならない
車中泊関連を中心に、車内をより快適で便利にするカー用品やアウトドアグッズが今や数多くある。
自動運転が搭載された際に、移動中にエンタメなどを楽しむことを付加価値として考えている自動車メーカーも多いようだが、すでに車内(運転中の利用は限定的だが)でエンタメを満喫しているユーザーには、さほど魅力的には映らないのではないだろうか。
50歳まで結婚しない、実質的に生涯独身者の比率を示す生涯未婚率は、男性は現在およそ23%、女性はおよそ14%と言われている。2040年には男性の生涯未婚率が30%、女性も18%にまで上昇すると内閣府が予測している。
少子化に歯止めをかけなければならない政府が悲観的な予測をしているのも問題だが、親と同居している独身者は、自宅以外にくつろげる空間としてクルマを利用する傾向が強くなっていくことも予測できる。
コロナ禍によって移動がぜいたくになった時期を経て、移動を楽しむユーザーにクルマの価値が見直されている。どういったカテゴリーであっても運転の楽しみを追求するマツダのようなクルマ作りもあれば、トヨタのようにバリエーションの豊かさを効率よく実現する手法もある。
ともあれ自動車メーカーはこの先も、クルマの魅力を開拓し続ける努力を強いられることになりそうだ。これまでとは異なるスピード感で新たな価値を開発し、それを訴求していく。これまでにない視点、開発の手法が必要となるだろう。
筆者プロフィール:高根英幸
芝浦工業大学機械工学部卒。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員。これまで自動車雑誌数誌でメインライターを務め、テスターとして公道やサーキットでの試乗、レース参戦を経験。現在は日経Automotive、モーターファンイラストレーテッド、クラシックミニマガジンなど自動車雑誌のほか、Web媒体ではベストカーWeb、日経X TECH、ITmedia ビジネスオンライン、ビジネス+IT、MONOist、Responseなどに寄稿中。著書に「エコカー技術の最前線」(SBクリエイティブ社刊)、「メカニズム基礎講座パワートレーン編」(日経BP社刊)などがある。近著は「きちんと知りたい! 電気自動車用パワーユニットの必須知識」(日刊工業新聞社刊)、「ロードバイクの素材と構造の進化」(グランプリ出版刊)。
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