やっぱりジムニーなのか? キャンプブームが終わっても支持されるクルマ:高根英幸 「クルマのミライ」(4/5 ページ)
キャンプブームは落ち着いたと言われるが、キャンピングカーやアウトドアに使えるクルマの需要はあり、車中泊も定着した。大型車だけでなく、シエンタやジムニーシエラ、軽バンといった車種も支持されている。車内空間を有効に使うユーザーもさらに増えるだろう。
クルマを「自分だけの空間」として使う
これらによって、従来のクルマで得られる刺激を超えた、非日常的な刺激を比較的手軽に楽しめる。これらはセカンドカーとして利用しているケースも多い。通勤やチョイ乗りには軽自動車を使い、休日の遠出には大型SUVを利用するというユーザーもいる。
しかし、それは一部の恵まれたユーザーだけの状況とも言えそうだ。可処分所得が減る一方の庶民にとって、クルマは徐々にぜいたく品へと戻っていくのかもしれない。そうなった時、燃費性能だけでなく快適性や利便性、さらにはプラスアルファの付加価値が重視される傾向が強くなっていくだろう。
ただの移動手段であればカーシェアや、マイクロモビリティのシェアリングサービスに取って代わられる。しかし、クルマを自分だけの空間としても利用できるようになれば、一気にコスパは高まる。
これまでも、自室代わりにクルマの室内空間を利用してきたユーザーは少なくない。これはアウトドアではなく、インドアユーザーにも訴求できるクルマの魅力だ。バブル期以降、駐車場に停めた車内でくつろぐユーザーは増えている。
自宅では自分が望む音量で音楽を楽しめないことから、駐車場の車内で思い切り(と言っても状況により限度はあるが)好きな音楽や映像を楽しむ向きもある。それ以外にも、読書や工作などさまざまな趣味を車内で楽しむユーザーがいるようだ。
都内のマンション価格が異常なほど高騰するなど、首都圏の住環境は庶民にとって厳しいものになりつつある。こうしたクルマの空間利用は今後も増えていくだろう。
ホンダの軽自動車N-VANは、ピラーレスのスライドドアと助手席までフラットになることで、軽自動車とは思えない大空間を実現している。車中泊はもちろん、大型オートバイを収納して運ぶこともできる。アイデア次第でいろいろな楽しみ方がある
前席のヘッドレストを外してリクライニングすればフルフラットになるシートは、幅広い車種で導入されている。一見、車中泊には十分な装備と思われるが、より快適に寝泊まりしたいユーザーはリアシートを折り畳んで荷室をフラットにしてマットを敷くなど、工夫している。
前述のシエンタには7人乗りと5人乗りが用意されているが、5人乗りはセカンドシートをフラットに収納できるので、2メートルの荷室長(後部座席をフルフラットにしたときの長さ)を生み出すことができる。これも人気を支えているようだ。
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