なぜ「魚肉ソーセージ」が人気に? 昭和のスター商品が再ブレークのワケ:スピン経済の歩き方(6/6 ページ)
魚肉ソーセージの販売個数が伸びている。かつて日本で大人気だった商品が、なぜこのタイミングで再び注目を集めているのか。マルハニチロの担当者に話を聞いた。
マルハニチロの「勝因」
「それはやはりこれまでの蓄積だと思います。実は今回のトクホ取得に大きく貢献した研究員はそろそろ定年を迎えるベテランなのですが、学生の頃から魚油を研究していて、食べて健康になる食品をつくりたいということで、弊社の研究所に入りました。そこから30年近く魚油研究を続けてきて、最後にたどり着いたのが今回の商品です」
サラリーマンならば誰もが胸が熱くなるような開発ドラマだが、そんなマルハニチロの魚油研究30年の集大成ともいうべき「DHA入りリサーラソーセージω」に対する市場の反応はどうか。
「おかげさまでよく売れています。あと、実は社内の評判もいいんです。昼休みや、業務の合間に食べている人がたくさんいます。何を隠そう、私もこれを毎日食べています」
もちろん、トクホは病気の治療を目的としたものではない。健康に最も大切なのは、バランスの取れた食生活や運動であることは言うまでもないだろう。
とはいえ、仕事に追われて忙しいビジネスパーソンがそれを十分にできないのもまた事実だ。そういう人はビジネスバッグに魚肉ソーセージを忍ばせておいてもいいかもしれない。かさばるものではないし、常温保存ができるので入れっぱなしで問題ない。
小腹が空いた時はもちろん、巨大地震などで帰宅困難になったり、電車や建物に閉じ込められてしまったり、そんな時の非常食にもなる。しかも、それで健康にもなるというのなら、中高年的にはこれほどありがたい話はない。
魚肉ソーセージ「再ブレーク」の背景には、このように今の時代にマッチしたさまざまなポテンシャルが秘められているからだ。
「疾病リスク低減魚肉ソーセージ」をバッグに忍ばせるのがビジネスパーソンの新常識……。なんて時代がやって来る日も近いかもしれない。
窪田順生氏のプロフィール:
テレビ情報番組制作、週刊誌記者、新聞記者、月刊誌編集者を経て現在はノンフィクションライターとして週刊誌や月刊誌へ寄稿する傍ら、報道対策アドバイザーとしても活動。これまで300件以上の広報コンサルティングやメディアトレーニング(取材対応トレーニング)を行う。窪田順生のYouTube『地下メンタリーチャンネル』
近著に愛国報道の問題点を検証した『「愛国」という名の亡国論 「日本人すごい」が日本をダメにする』(さくら舎)。このほか、本連載の人気記事をまとめた『バカ売れ法則大全』(共著/SBクリエイティブ)、『スピンドクター "モミ消しのプロ"が駆使する「情報操作」の技術』(講談社α文庫)など。『14階段――検証 新潟少女9年2カ月監禁事件』(小学館)で第12回小学館ノンフィクション大賞優秀賞を受
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