やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由:合理的な判断(7/7 ページ)
小売り大手のセブン&アイが、カナダに本社を置くアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けました。ネガティブな報道が多い印象がありますが、本当に悪い話なのでしょうか。財務を分析すると……。
日本経済の活性化につながることが最重要
今回は、セブン&アイという小売り業界の話でしたが、それ以外の業界でも今後同じようなことが起きうると考えています。例えば自動車業界に関しても、中国メーカーの台頭により日米欧メーカーが中国だけでなく、世界中の市場での競争が一段と激しくなっています。2000年代初頭のような国境を超えた大型の統合が起きました。今後、同じように完成車はもちろん、自動車部品の業界でも統合が進むかもしれません。
今回の買収提案は日本の上場企業にとってエポックメイキングになるのでは、と考えています。なぜなら、収益性は申し分ないが、成長への期待や効率性の低さを放置できなくなるからです。
市場からの評価が割安であれば、大企業でも買収される可能性があります。たとえ買収されなかったとしても、今回のセブン&アイでいえば、数年後にACTに買収されたほうが良かったのではないか? と株主に思われないような結果を経営者は出さなければならないのです。
円安の影響もあり、今後は優れた企業ほど国境を越えて買収の対象となるでしょう。日本企業が、日本人の手によって育っていくことは理想的ではあります。一方で、買収によってより優れた海外企業の経営で今まで以上に成長し、そこで働く日本人の給与やスキルが成長することも同じように日本社会にとってプラスです。
日本の社会は経営者も社員も株主も、一気にグローバルのレベルにアップデートしなければならない、待ったなしの状況に突入しているのかもしれません。それが日本経済の活性化へとつながっていくことが一番大切なのだと思います。
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