やっぱり、セブン&アイの買収提案は悪い話なのか いやいやそうでもない、これだけの理由:合理的な判断(6/7 ページ)
小売り大手のセブン&アイが、カナダに本社を置くアリマンタシォン・クシュタールから買収提案を受けました。ネガティブな報道が多い印象がありますが、本当に悪い話なのでしょうか。財務を分析すると……。
買収で「優れた企業になる」という選択肢を捨ててよいのか
前述の通り、セブン&アイは規制業種にあたるため、買収には日本政府の承認が必要なのではないかとの見方があります。
財務省が「外資による買収防衛目的で、コア業種へ格上げすることはない」という報道が出ていました。しかし、その「コア業種への格上げ」が万が一通ってしまうと、日本製鉄がUSスチールを買収することとは逆になってしまいます。そうなった場合、多くの投資家に対して日本の市場は世界に開かれていないという印象を与えてしまうでしょう。
上場会社に対する東京証券取引所からの「資本コストや株価を意識した経営」への対応要請などにより、日本企業は今、資本市場と向き合うべく変わろうとしています。日本の株式市場は乱高下しているものの、海外投資家は逃げていません。こうした状況の中で「買収への抵抗」が起きてしまうと、かなりネガティブな反応をされてしまうでしょう。
果たしてそれは日本経済にとって本当に良いことなのでしょうか。私は、もっと合理的な判断をもって、日本社会が買収を許容できるようになると良いと感じています。自民党総裁選を控える中で、幸い買収についてはネガティブなコメントは特段ありませんでした。個人的には、日本社会や政府機関が買収に抵抗するような状況にならなければ良いと考えています。
なぜなら、前段で説明した通り、ACTがセブン&アイを買収し、企業価値が向上したとしたら、日本経済や日本社会にとってプラスだと考えるからです。確かに、セブン&アイという名前ではなくなる可能性があり、純粋な日本の小売り企業ではなくなるかもしれません。
ただ、買収により海外の商習慣を日本の小売りに取り入れていくことで、今後の発展に良い影響を与えられる可能性もあります。買収に対してアレルギー反応を示すだけでなく、そうした可能性を信じることも必要なのではないでしょうか。
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