全てが安いわけではないのに、「コストコ」はなぜお客の心をつかむのか 商品以外の魅力に迫る(2/3 ページ)
コストコが近年出店攻勢を強めている。会員制で多くの消費者の心をつかむスーパーとして知られているが、そもそもどんな点が人気なのか。店舗を訪問して確かめる。
コストコが「2割安い」と主張するワケ
今回、記事の執筆に当たって新三郷倉庫店(埼玉県三郷市)を訪れた。これまでコストコに対してスーパーという認識があったが、店内は食品や洗剤といった消耗品だけでなく、衣服や家具、家電にPCと幅広い商品を陳列していた。ブランドにこだわらなければ家庭内に必要なものを全てそろえられる。
非冷蔵・冷凍の食品や洗剤類などの消耗品は、基本的にパレット上に陳列している。IKEAの倉庫と同じような雰囲気だ。常のスーパーのように商品棚に並べるのではなく、メーカーから入荷し、そのまま陳列する形をとっている。倉庫の上段にもパレットが置いてあり、下段の商品がなくなったら上段のパレットから下ろしていると考えられる。
一般的な小売店と異なり、コストコはメーカーからの直接取引を基本としている。メーカーから配送された商品は一度コストコの物流センターに集められ、そこから各店舗に配送される仕組みだ。直接取引であること、そしてパレット陳列で手間がかからないことが安さにつながり「市場価格より2割安く提供している」とコストコは主張している。ただし、商品は2.6キロの食用油や5リットル以上の洗剤というように、大容量のものが多い。大容量品を大量に仕入れることで安さを実現しているわけだ。
「全てが安い」わけではない
SNSやメディアで話題になっているように、特に人気なのが大容量の食料品だ。12個入りの蒸しパンやミニケーキ、24個入りのロールパンなど、ジャンルを問わず大容量の商品が並ぶ。例えば生鮮コーナーでは100グラムで145円(9月21日時点、以下同)の牛ひき肉、同69円の豚ひき肉などがある。比較的安いが、ひき肉の内容量は約2キロもあり、消費期限も1〜2日のため、基本的に購入はファミリー層に限られるだろう。
なお「コストコは安い」という印象があるが、こうした大容量品のため相場が把握しづらく、特にメーカー品などはシビアにグラム単価で見ると実はそこまで安くない商品も多い。安いのはコストコの自社PB「KIRKLAND Signature(カークランドシグネチャー)」だ。1本約1000円の白ワインや1キロ強で約2000円のコーヒー豆などが挙げられる。同ブランドの商品ジャンルは食料品から衣類、ゴルフ用品まで多岐にわたる。特大サイズ・低価格をコンセプトとしており、コストコ全世界では売り上げの4分の1を占めるという。
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