サイゼリヤの進化か、改悪か? メニュー削減と2000店舗拡大の裏にある戦略:スピン経済の歩き方(1/7 ページ)
「脱ファミレス戦略」を進めるサイゼリヤが、メニュー数を減らしている。中期目標で「国内2000店舗」を掲げているが、それは本当にサイゼリヤファンが求めていることなのだろうか。
最近、サイゼリヤをこよなく愛する人々“サイゼリヤン”から「ずいぶんメニューが減った気がする」という嘆きの声が聞こえる。
筆者もちょっと前までは「赤身と脂身のバランスの良さ」をウリとしていた「リブステーキ」が好きでよく注文していたのだが、今見たらメニューから消えていた。
サイゼリヤでは定期的にメニューを改変しており、これまでも「大好きなシーフドパエリアなくなっている!」なんてファンの嘆きがたびたび注目を集めているが、今回はそういう話ではない。メニューが全体的にスカ……ではなく厳選された印象がある。
それもそのはずで2023年末、「サイゼリヤ社長、円安定着『メニュー3割削減で効率化』」(日本経済新聞 2023年12月6日)で報じられたように、値上げを進める外食チェーンが多い中、サイゼリヤは「価格据え置き」で差別化を図る戦略のため、メニューの3割を削減しているのだ。
メニューを減らせばそれだけコストカットが実現できて効率化も進むので、「安さ」をキープできるというわけだ。この「低価格路線の死守」はサイゼリヤの「脱ファミレス戦略」に関係している。
同社はファストフードよりも高価格帯で、既存のファミレスよりも低価格という「ファストカジュアル」を掲げて改革を進めている。つまりメニューを減らしているのは、サイゼリヤがファストフードに近付いているからなのだ。
それがうかがえるのが、「目標店舗数の引き上げ」だ。これまでサイゼリヤはファミレスチェーンでトップのガスト(2024年9月時点で1247店舗)を上回る1500店舗を目標にしていたが、2024年に入り中期計画で「国内2000店舗」と、目標をガツンと引き上げた。
この規模を実現できているのは「マクドナルド」や「すき家」である。これはサイゼリヤが背中を追いかけているのは、もはやファミレスではなくファストフードだという強烈なメッセージなのだ。
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