サイゼリヤの進化か、改悪か? メニュー削減と2000店舗拡大の裏にある戦略:スピン経済の歩き方(3/7 ページ)
「脱ファミレス戦略」を進めるサイゼリヤが、メニュー数を減らしている。中期目標で「国内2000店舗」を掲げているが、それは本当にサイゼリヤファンが求めていることなのだろうか。
消費者がサイゼリヤに求めていること
現在、サイゼリヤは2024年9月時点で1040店舗だ。ここから倍増をしたところでぶっちゃけ、熱心なサイゼリヤファンからすればあまり関係がない。もちろん、家の近くに新しいサイゼリヤができてくれたらありがたいのかもしれないが、サイゼリヤンがこの店を愛しているのは、ゆったりとした席で、破格の値段でおいしい食事が楽しめるという点だ。
今、サイゼリヤが増やそうとしている、従業員3人で回すような小型店では「いつものサイゼのほうがいいな」と感じてしまう人もいるのではないか。
つまり、サイゼリヤが進める「メニュー減少」「低価格路線の維持」の先にある「ファストフード化」「小型店舗化」というのは、サイゼリヤという企業にとって正しい戦略なのだが、それが必ずしも消費者側のニーズと合致していないのではないかと言いたいのだ。
では、消費者は何を求めているのか。ちょびっとくらい値上げしてもメニューを減らすことなく、今のサイゼリヤの「安くて最高」をキープしてくれればそれでいいのである。
もちろん、消費者の嗜好(しこう)の変化によって進化していくことも必要だ。例えば、相変わらず100円ワインでの「サイゼリヤ飲み」が人気なのだから、せんべろ居酒屋の「サイゼリヤ酒場」なんてスピンオフをしてもいいし、激安のミラノ風ドリアなどの食事をカウンター席でさっと食べさせる、牛丼チェーン的な店舗に挑戦してもいい。
少なくとも日本全国のサイゼリヤンの中で「メニューの少ない小型店に行きたいなあ」とか「早く全国2000店舗を達成してほしいなあ」なんてことを望んでいる人は、ほとんど存在しないのではないか。
しかも、「2000店舗」というのもかなり身の丈に合っていない目標だ。国内事業は回復をしてきているものの「絶好調」というほどではなく、店舗数もじわじわと減少している。
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