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日本で「面白いマンガ」が生まれ続けるのは、なぜ?『漫画ビジネス』(4/4 ページ)

海外に比べて「日本には面白い漫画がたくある」と言われていますが、なぜこうした現象が起きているのでしょうか。背景にあるのは……。

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天才から天才へと才能のリレー

 集英社の広報部から発表された、鳥山さんへの訃報。このなかにあった、『ONE PIECE』の尾田栄一郎さん、『NARUTO』の岸本斉史さんからの言葉に、はっとさせられたのです。


鳥山明さんの訃報を受け、週刊少年ジャンプなどの編集部がコメントを出した(出典:集英社)

 「漫画なんて読むとバカになるという時代からバトンを受け取り大人も子供も漫画を読んで楽しむという時代を作った一人でもあり漫画ってこんな事もできるんだ世界に行けるんだ、という夢を見せてくれました。突き進むヒーローを見ているようでした。」(『訃報』尾田栄一郎)

 「僕も先生のような作品を作りたい! 先生のようになりたい! と、先生の後を追いかけるように漫画家を目指すうちにその喪失感もなくなっていきました。漫画作りが楽しかったからです。先生を追いかける事で新しい楽しみを見つける事が出来ました。先生はいつも僕の指針でした。」(『訃報』岸本斉史)

 鳥山明の跡を継いでメガヒット作品を生み出した2人が、いかに強くこの偉大な先人の影響を受け、その存在を追いかけたのかが切々と書かれています。

 輪廻のようにして、天才から天才へと才能のリレーが行われる営みが、漫画という裾野の頂を高く、より高い次元にいざなうものだと私は考えます。

著者プロフィール:菊池健(きくち・たけし)

一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表

 1973年東京生まれ。日本大学理工学部機械工学科卒。商社、コンサルティング会社、板前、ITベンチャー等を経て、2010年からNPO法人が運営する「トキワ荘プロジェクト」ディレクター。東京と京都で400人以上の新人漫画家にシェアハウス提供、100人以上の商業誌デビューをサポートし、事業10周年時に勇退した。同時に、京都国際マンガ・アニメフェア初年度事務局、京まふ出張編集部やWebサイト「マンナビ」など立ち上げた。その後、マンガ新聞編集長、とらのあな経営企画、SmartNewsマンガチャンネル、コミチ営業企画、数年に渡り『このマンガがすごい!』(宝島社)の選者を務める。クリエイター支援やデジタルコミックの事業での事業立ち上げ、営業、企画、イベント、編集、ライティング等を得意とする。noteにて毎週日曜日に「マンガ業界Newsまとめ」を発信。共著『電子書籍ビジネス調査報告書2023』(インプレス総合研究所)のウェブトーンパートを担当した。2024年3月に、一般社団法人MANGA総合研究所を設立。


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