日本で「面白いマンガ」が生まれ続けるのは、なぜ?:『漫画ビジネス』(3/4 ページ)
海外に比べて「日本には面白い漫画がたくある」と言われていますが、なぜこうした現象が起きているのでしょうか。背景にあるのは……。
なぜ、日本に面白いマンガが生まれ続けるのか?
天才が描いたプロダクトアウト型の作品だけがメガヒットする。それならば、天才だけをスカウトしてきて、作品をつくれば、大量に作品をつくらなくてもすぐにメガヒットが生み出せるのではないか。そう思われるかもしれません。
しかし、天才というものは、いきなり1人だけをピックアップしても出現しないものです。まるで、神のいたずらのようにランダムに出現するのです。だからこそ、裾野を広くして、試行回数を増やさなければなりません。
さらにメガヒット作品を産んだ天才は、時代のヒーローとなり、世の中の憧れの的となります。その天才に憧れた次の世代の天才がまた新たなメガヒット作品を生み出していく。
こうして、天才たちにより輪廻のように作品が紡がれ続ける。この連鎖こそが日本の漫画業界でメガヒットが生まれる理由です。
2024年3月1日に、『Dr. スランプ』『ドラゴンボール』を生み出した、漫画史を象徴する漫画家・鳥山明さんが逝去されました。手塚治虫に端を発した日本の天才漫画家たちの系譜の中でも、鳥山明さんは象徴的な天才といえると思います。
彼の作品が存在した以前と以後で、世のマンガ作品がガラッと変わるような大きな影響を与えました。
世界中のファンが彼を亡くしたことを悼み、市井のひとたちは、大きなイラストを描いたり、パリのサッカー場では、伝統の「サンジェルマン」と「マルセイユ」戦の中でも、ファンによる巨大なコレオグラフィー(ボードなどによる人文字)が形づくられました。
世界中のメディアがこの訃報を報じ、国内の著名人はもちろん、フランスのマクロン大統領まで弔意をX(旧Twitter)で示しました。巨星が墜ちたことが広く偲(しの)ばれました。
世の中が偉大な才能を失った悲しみに暮れるなか、私はある一筋の天才たちの系譜を見つけました。
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