日本でマンガが広がった背景に、どんな「仕組み」があったのか:『漫画ビジネス』(4/4 ページ)
30代以上の人にとって、マンガと言えば「紙の雑誌」「紙の単行本」を想像する人が多いと思いますが、そもそもなぜ日本でマンガがこれほど普及したのでしょうか。
大人もマンガを読む
1960〜70年代、日本では、大学生がマンガを読むということが、ひとつの社会問題として捉えられていました。「マンガは子どもが読むもの。それを大人が読むなどけしからん」という考え方ですね。この時期、少年誌創刊ブームで多くのマンガに触れた世代が、その後の青年誌創刊や、そこで作品をつくる作家や編集者ともども大人になっていき、マンガの市場が年齢の高い層に広がっていったタイミングでした。
特に、日本において過去最高に人口の多かった世代、団塊の世代がこのマンガを読みながら大人になっていく層に直撃し、この世代は50歳を過ぎても60歳を過ぎてもマンガを読む人の存在が根強く、以降は大人がマンガを読むことは珍しくなくなりました。
その大人たちが、本屋のみならず、通勤電車の駅にある販売店で漫画誌を購入するというタッチポイントは、全国津々浦々で巨大な販売や宣伝の一助となり、作品を大人も含めた読者に浸透させたのです。
著者プロフィール:菊池健(きくち・たけし)
一般社団法人MANGA総合研究所所長/マスケット合同会社代表
1973年東京生まれ。日本大学理工学部機械工学科卒。商社、コンサルティング会社、板前、ITベンチャー等を経て、2010年からNPO法人が運営する「トキワ荘プロジェクト」ディレクター。東京と京都で400人以上の新人漫画家にシェアハウス提供、100人以上の商業誌デビューをサポートし、事業10周年時に勇退した。同時に、京都国際マンガ・アニメフェア初年度事務局、京まふ出張編集部やWebサイト「マンナビ」など立ち上げた。その後、マンガ新聞編集長、とらのあな経営企画、SmartNewsマンガチャンネル、コミチ営業企画、数年に渡り『このマンガがすごい!』(宝島社)の選者を務める。クリエイター支援やデジタルコミックの事業での事業立ち上げ、営業、企画、イベント、編集、ライティング等を得意とする。noteにて毎週日曜日に「マンガ業界Newsまとめ」を発信。共著『電子書籍ビジネス調査報告書2023』(インプレス総合研究所)のウェブトーンパートを担当した。2024年3月に、一般社団法人MANGA総合研究所を設立。
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