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やっぱり、日本のビッグマックは海外と比べて「安い」のか『ビッグマックと弱い円ができるまで』(2/2 ページ)

外国為替の影響で、ビッグマックの価格は日本より米国のほうがずっと高い。では、他の国と比べても日本のビッグマックは安いのか?

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ビッグマックと弱い円ができるまで』(著・佐々木融/クロスメディア・パブリッシング)

 エコノミスト誌の調査によると、今から24年前の2000年4月時点の日本のビッグマックの価格は世界の中で上から5番目くらいに高かった。日本のビッグマックの価格は当時294円で、米国のビッグマックの価格は2.24米ドルだった。当時の米ドル/円相場は1米ドル=105円前後だったので、米国のビッグマックの価格は日本円で240円程度で、日本よりも安かった。

 過去24年間で、日本のビッグマックの価格は294円から480円まで1.6倍程度にしか値上がりしていない一方、米国のビッグマックの価格は2.24米ドルから5.69米ドルと2.5倍も値上がりしていることが分かる。さらに、1米ドルと交換するために必要な円が、105円から150円に大幅に増えてしまった。

 つまり、米国でビッグマックの米ドル建て価格が大きく上昇したことと、一方で円の価値が米ドルに対して大幅に下がってしまったことが、以前と比べると米国でビッグマックを買うのに必要な円が多くなっていることの原因であることが分かる。

(注)『エコノミスト誌』調査の価格は2024年7月時点。

【まとめ】

過去24年間で米国ではビッグマックを買うのに必要な米ドルが2.5倍に増え、1米ドルと交換するのに必要な円が105円から150円に増えた。

著者プロフィール:佐々木 融(ささき・とおる)

ふくおかフィナンシャルグループ・チーフストラテジスト

 1992年上智大学外国語学部英語学科卒業後、日本銀行入行。調査統計局、札幌支店を経て1994年から1997年まで国際局(当時)為替課に配属。市場調査・分析の他、為替市場介入も担当。その後考査局を経て、2000年7月よりニューヨーク事務所に配属され、NY連邦準備銀行等、米国当局と情報交換を行いつつ、外国為替市場を含めたNY市場全般の情報収集・調査・分析を担当。

 2003年4月、JPモルガン・チェース銀行にチーフFXストラテジストとして入行。2009年6月債券為替調査部長、2010年5月マネジング・ディレクター、2015年6月市場調査本部長。20年以上にわたってJPモルガンの世界全体のオフィシャルな円相場予想作成の責任者を務める。2023年12月より現職。

 日経ヴェリタス為替アナリストランキング、2016年及び2018年〜2021年まで4年連続1位。インスティテューショナル・インベスターズ誌日本為替アナリストランキング、2019年、2020年1位。2024年3月、財務省「国際収支に関する懇談会」委員。著書に『弱い日本の強い円』(日本経済新聞社、2011年)『インフレで私たちの収入は本当に増えるのか?』(ダイヤモンド社、2013)がある。


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