おにぎりの「ぼんご」が認めた「こんが」1日2500個を販売、それでも「なかなか儲からない」理由は?:利益よりも伝えたいこと(5/5 ページ)
「おにぎりブーム」の火付け役と言われる大塚の「おにぎりぼんご」。同店が唯一、ぼんご直伝として出店を認めたのが「おにぎり こんが」だ。羽田空港の店舗では、ぼんごよりも多い1日2000〜2500個を販売する。どのように人気を獲得してきたのか。
人気があるのにもうからない難しさも
もともと、こんが出店の目的は、ぼんごのおにぎりの魅力を広めて「おにぎり=ぼんご」の世界をつくることだったが、現在の目的は異なっているという。
「今の右近さんの夢は『おにぎりという食文化を2000年先まで人類に残していくこと』なんです。石川県中能登町の杉谷チャノバタケ遺跡で2000年前のおにぎりの化石(※)が発見され、それを知った右近さんが、『2000年前からおにぎりの食文化をつなげてきてくれた人がいたんだ』と感動して、『それなら私はこの先の2000年につなげていく役割を担いたい』と考えるようになったそうです」
そうした右近氏の変化を受け、合田氏の目標も変化。現在は「おにぎり=こんが」の世界を目指して、事業拡大に奮闘しているという。とはいっても、その背景には「こんがが広がれば、自然とぼんごの魅力も伝わっていく」という思いがある。
「弟子である私が世間に評価されるおにぎりを提供できれば、ぼんごの名前や魅力も広がるはずです。具体的な出店数の目標は立てていませんが、まずは主要都市に1店舗の出店を目指します。まだ詳細はお伝えできませんが、日本の大手企業と組んで海外展開も予定しています」
順調に事業を拡大しているこんがだが、これだけの人気を獲得していても「もうからない」難しさがあるという。
「おにぎりは原価が高く、具材にこだわっているので仕込みの人件費も高くつきます。とはいえ、消費者の感覚にはコンビニのおにぎりの価格がベースにあり、売値を上げづらい。結果としてもうかりません。私自身はもうけ目的ではないので続けられますが、もうけたいならおにぎり専門店は難しいだろうと思います」
そうした側面に加え、「おいしいと思ってもらえる環境づくり」も容易ではない。右近氏と同じく合田氏も、こだわってつくったおにぎりを気持ちいい接客と心地いい空間で食べてもらうことが最重要だと考えているが、店舗を拡大しながら環境を維持していくのは課題だという。
おにぎりブームと言われる昨今では、ぼんご系おにぎりや独自路線のおにぎり専門店が増えているが、数年後には状況が大きく変わっているかもしれない。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
大塚「おにぎり ぼんご」はなぜ人気なのか 休日は6時間待ち
JR大塚駅の北口から徒歩2分、老若男女から熱烈な支持を得る、おにぎり専門店「ぼんご」。平日は2時間以上、土曜や祝日は6時間ほどの待ち時間が発生する。何が人々をここまで魅了するのか。
広がる「おにぎりブーム」 国内Z世代にとどまらず、海外でも人気を博す納得の理由
国内では若年層、そしてグルテンフリーな点から海外でも人気が広がる「おにぎり」。そのけん引役ともいえる、大塚・ぼんごの代表へインタビューするとともに、各社の取り組みをまとめていく。

