痛烈な「ダメ出し」大歓迎! アプリ会員1500万人の口コミは、ドンキをどう変える?(4/5 ページ)
商品改良や店舗改善において、「顧客の声を聞く」ことは重要だ。ドン・キホーテなどを運営するパン・パシフィック・インターナショナルホールディングス(PPIH)は、2023年11月から公式アプリ「majica(マジカ)」に新しい口コミ機能「マジボイス」を搭載。1500万人のアプリ会員から、商品に対する声を収集している。
改良する様子は「七転八倒」
正直レビューには、2023年11月のサービス開始から累計約112万件(9月末時点)の評価やコメント(内訳:商品評価約86万件、コメント約26万件)が集まっている。宮本氏は「1年で100万件くらいなら御の字だと思っていたので、想像以上の反響です」と振り返る。
集まった評価やコメントは、月に一度開催するマジボイス実現委員会で精査。マジボイス実現委員会のメンバーは、宮本氏をはじめとするマジボイス推進課や広報、マーケティング、開発、品質管理、デザインなど各部門から集められた30人前後で構成されている。評価の割合や書き込まれたコメントを基に選んだ約10商品を取り上げ、年に約30商品をリニューアルしているそうだ。
7月15日に発売した「抗菌アルミホイル25cm×10m」(141円)も、改良した商品の1つだ。「ホイルは良いが、毎回紙刃がきれいに切れずプチストレス。刃が箱側でなく、蓋側に付いてた方が切れやすいのでは?」とのコメントをきっかけに、改良に着手。箱パッケージを従来の一体刃から別体刃に変更することで切りやすさを向上した他、刃の形状や位置を微調整した。販売数はリニューアル前から1.2倍にアップしたという。
一方、改良が一筋縄ではいかなかった商品が、偏愛めしの1つである「あんだく溺れ天津飯」(430円)だ。2023年11月に発売したところ、「持ち帰る時斜めにならないように注意しないと、隙間からつゆがあふれる。ふたと皿の隙間をラップでふさいで欲しい」とのコメントが。約40種類の容器から餡のあふれづらい容器を新しく選び、今年5月にリニューアルした。
しかし、リニューアル後も「改善されたという容器でも普通に餡はこぼれます」という意見があった。顧客から寄せられる忌憚(きたん)ない声に、商品担当者も一度はくじけそうになっていたというが、再び調整を行い、再々販に至った。マジボイスをきっかけにした改良の様子について、宮本氏は「お客さまの要望を実現させるために、七転八倒しながら対応しています」と話す。
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