サブウェイは「病み上がり」のワタミを救えるか 成功のカギは2つ(2/2 ページ)
ワタミは10月25日、サンドイッチチェーン「SUBWAY」の日本法人である日本サブウェイを買収したと発表した。回の買収にはどのような狙いがあるのだろうか。小売・流通アナリストの中井彰人氏に聞いた。
「ワタミファーム」という強み
今回の買収で大きなシナジーをもたらしそうなのが、ワタミが所有・運営する農園だ。同社の農園「ワタミファーム」は国内7カ所にあり、野菜を栽培したり、乳牛を育てたりしている。
サブウェイのサンドイッチは、基本的にレタス、トマト、ピーマン、オニオンが入っている。他のファストフードチェーンと異なり、「野菜がたくさんとれる」ことが売りの1つだ。今後、ワタミファームで生産された有機野菜を、サブウェイで使用できる。「ワタミファームの農作物を有効活用するための、サブウェイという巨大な出口ができたとも言えます。サブウェイ買収により、需要から供給まで一体的なサプライチェーンを構築できるでしょう。自社農園でとれた野菜を使用することは、イメージ戦略の面でもプラスに働きます」(中井氏)
狙うべき出店エリアは?
10月25日に開催したサブウェイとの共同記者発表会において、ワタミの渡邉美樹会長兼社長は「20年かけて3000店を目指す」と明らかにした。ワタミがサブウェイの出店を加速していく上で、中井氏は「消費者からマクドナルドとは違う使われ方をすること」を重視すべきと話す。
サブウェイでは注文の際、パンや野菜の量を選ぶことができる。好みに合わせてカスタマイズできるのはセールスポイントだが、子ども連れや大人数だと注文が面倒と感じる人もいる。「ファミリー向けのロードサイド店舗の展開は限定しつつ、オフィス街への出店は親和性が高いと考えられます」(中井氏)
時間が限られる平日ランチ時は、事前にモバイルオーダーで注文を受け付け、テークアウトにすれば回転率も上がる。加えてワタミが都心部で展開する居酒屋を、サブウェイに業態転換するのも一案だと中井氏。「既存の居酒屋店舗を活用すれば改修費用だけで済み、コストカットにもなります」(中井氏)
“病み上がり”のワタミにとって、サブウェイは回復の切り札になれるか。今後の動向に注目だ。
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