NVIDIAのAIサーバ導入を支援 「RYOYO AI Techmate Program」の狙いは?
菱洋エレクトロは12月中旬、企業向け生成AI導入サポートプログラム「RYOYO AI Techmate Program」を始める。NVIDIAの最新AIサーバを使えるのが特徴だ。
最新のAIサーバは、そのコストの高さやIT人材不足から導入を躊躇する企業も多い。そんな企業に対して導入を支援するプログラムを、半導体商社の菱洋エレクトロが打ち出す。
同社は12月中旬、企業向け生成AI導入サポートプログラム「RYOYO AI Techmate Program」を始める。NVIDIAの最新AIサーバを使えるのが特徴だ。企業の生成AI活用を後押しするため、AIの検証環境の提供、企業マッチング、人材育成の3本柱で各産業にソリューションを提供する。
数千万円の「NVIDIA DGX H200」提供 なぜそこまでする?
菱洋エレクトロは、2005年からNVIDIA製品の販売を手掛けており、プログラム実施によって販売増につなげていく構えだ。
RYOYO AI Techmate Programは、(1)データ分析などのAIワークロードを迅速に展開・管理できるNVIDIA AI Enterpriseの一部「NVIDIA NeMo」を用いた開発・検証環境を整えた施設と、(2)企業マッチング、(3)自然言語処理を使ったAI技術を強みとするレトリバ(東京都豊島区)と連携した人材育成・技術支援プログラムの3つで構成する。これにより製造業、医療、エネルギー業など各産業における生成AIの活用を支援していく。
生成AIが進化し続けている一方で、生成AIをスムーズに活用している日本企業は数少ない。初期投資への負担や専門スキルの不足、社内で生成AIに対する認識が一致していないことが要因に挙げられる。
菱洋エレクトロが10月21〜25日に、メールマガジンに登録している111社を対象にインターネットで実施した「企業の生成AI導入」に関する調査では、多くの企業が「生成AIを推進する体制」の構築に難航していることが浮き彫りとなった。
導入において直面した課題で最も多かったのは「取り組みを推進する組織や体制がない」(26%)。「社内で活用方針を決め切れてない」「活用のアイデアや参考事例がない」(同23%)が同率で続いた。
導入に必要なサービスを聞くと「生成AI導入プロジェクトを推進する人材育成」(37%)と回答した企業が最も多かった。次いで「エンジニアに対する技術的スキルの育成」(27%)となり、推進面・技術面の両面から育成の支援を必要としていることが明らかとなった。
そこで菱洋エレクトロは、RYOYO AI Techmate Program提供に踏み切ったという。生成AI検証センターの「RYOYO Test Lab」では、数千万円といわれるGPU基盤「NVIDIA DGX H200」をはじめとする最新のGPUインフラを使ってもらい、検証する環境を提供する。コンテナ利用・運用プラットフォームの利用体験や、NVIDIA NeMoを用いた次世代の対話型AI実現に向けた大規模言語モデル(LLM)のカスタマイズを検証できる支援を手掛けるという。
企業とのマッチングでは、同社が提携するソフトウェアからハードウェアまでさまざまなソリューションを提供するパートナーエコシステム「RYOYO Techmate制度」に加入するパートナーから、顧客の課題解決に最適な企業をマッチングする。
人材育成・技術支援プログラムでは、レトリバの支援プログラムを活用して顧客の生成AI導入フェーズに合わせた人材育成を支援。AIプロジェクトの推進や技術開発に必要なスキルだけでなく、企業競争力を高める活用方法やAI導入に向けた組織構築などのコンサルティング支援も手掛ける。
菱洋エレクトロとしてはプログラム実施によって、顧客からの課題をヒアリングする機会を得られる。生成AI導入を検討する中小企業などを集め、販売増につなげられるか。
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