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日産9000人削減の衝撃 「技術自慢の会社」ほど戦略で大コケする理由:スピン経済の歩き方(4/8 ページ)
日産自動車は、なぜここまで経営危機に陥ってしまったのか。特に中国市場が厳しい理由や、問題の本質とは――。
北米市場でも苦戦
日産が世界戦略EVと位置付けただけに、アリアは技術的に素晴らしいEVなのだろう。しかし、消費者というのは技術力が高いからといって飛びつくものではない。特に日本人と異なる価値観や嗜好(しこう)をもつ海外の人ならばなおさらだ。
この「技術に固執するあまり顧客の嗜好(しこう)を見失う」というのは、同じく販売パフォーマンス低下が深刻な北米市場でも見られる。
先ほどの小売販売台数を見て、「あれ? 北米ではそれなりに善戦しているじゃん」と思う方もいるかもしれないが、「販売コスト」が異常に高くなって、利益がほとんどでない状況に陥っているのだ。
その販売コストの代表が、「新車販売にかかるインセンティブ」だ。
これは自動車メーカーがディーラーに支払う奨励金のことで、この資金を用いて販売店側は、車の値引きやローン金利を優遇する。そんなインセンティブが近年、米国では急騰している。
米調査会社コックス・オートモーティブによると、2024年4〜6月期の1台当たりの奨励金は業界平均で3100ドル強と前年同期比で約65%増えたという。この急激なコスト高は当然、日本の自動車メーカーを苦しめているわけだが、その中でも特にダメージが大きいのが、日産である。
なぜかというと、ダントツにインセンティブが高いからだ。
前出の調査会社によると、トヨタの1台当たりのインセンティブは1460ドル。ホンダは2200ドルという相場に対して、なんと日産は3500ドルも払っている。
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