“電動キックボード問題”が一歩前進? 次世代モビリティが示す新しい移動のかたち:高根英幸 「クルマのミライ」(2/4 ページ)
「ジャパンモビリティショー ビズウィーク 2024」では、スタートアップの熱量を感じた。利便性や安全性を高める技術やサービスの開発が活況だ。昨今、ユーザーの安全意識の低下が問題視される電動キックボードなども、改善のヒントが提示されていた。
快挙を成し遂げた先進技術も出展
スタートアップブースでは、自社の商品を熱っぽく語る説明員がズラリと待ち構えていた。これは、今までの自動車技術系の展示会では感じなかった熱量だ。
スタートアップはビジネスのアイデアと元気が取り柄だと言ってもいいが、3日間の開催であまりの引き合いに勢いづいているのだろう。次々と訪れる来場者に声をかけ、説明を行っていた。
ディーラー向けにオンラインの新車販売システムを提案している企業もあった。すでに導入しているところもあるらしく、人材不足や集客に悩みを抱えている販売店にとっては新しい武器となるのだろう。韓国・ヒョンデのようにネット販売から実店舗併用へと逆行しているケースもあり、クルマの販売も今後ますます多様化していきそうだ。
そして、物流の2024年問題が徐々に表面化している中、物流関係のスタートアップ企業の出展もあった。軽貨物などの小規模なトラック事業者(個人事業主も含む)と荷主をマッチングさせるチャーター便のサービス「ピックゴー」を運営するCBcloud(東京都千代田区)は、宅配企業のエコ配と合同でブースを展開していた。
それは、CBcloudが展開している物流DXのシステム「スマリュー」をエコ配が利用しており、両社には競合領域もほとんどないからだ。エコ配は大手宅配業者の半額という料金の安さをうたうサービスで、東名阪の3大都市にエリアを限り、荷物の大きさも限定することで、配送車両や配送センターを小型化して効率を高めている。
アプリで集荷に対応できるところが限られるなど、まだまだ発展途上な印象は否めないが、それだけに今後の成長も期待できる。
船舶の揺れを研究している東京海洋大学の渡邉豊教授は、揺れと重心の連携からヒントを得て三次元重心検知理論を考案した。これはあらゆる乗り物に適用できるものとして、トラックの横転限界を検知するシステムを開発し、今回、模型をブース展示していた。
この三次元重心検知理論は、米国政府が主催するESV国際会議2023(第27回自動車安全技術国際会議)の中で開催された学生安全技術デザインコンペティションで優勝したそうだ。これはアジア初の快挙であり、もっと注目されるべき技術と言っていい。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
2人乗車はなぜ難しい? 超小型モビリティ「Lean3」が日本では1人乗りの残念な事情
2024年のジャパンモビリティショー ビズウィークで注目されていたのは「Lean3」という小型モビリティ。2人乗車仕様の販売を実現するには、まだ手探りの状況だ。官民挙げて超小型モビリティを普及させ、ビジネスを広げていってほしい。
なぜ軽自動車は選ばれるのか 「軽トラック」がじわじわ広がっている理由
税制優遇があり、装備も充実してきた軽自動車。そもそも国民車構想から誕生したが、安全性や快適性を高めて進化していった。スズキやホンダが高品質な商品をヒットさせた影響も大きい。軽トラックなどは海外でも評価されており、今後も需要が拡大するだろう。
セダンが売れる時代はもう来ないのか クルマの進化で薄れていく魅力
SUVやミニバンと比べて、セダンの人気は衰退している。目新しさが魅力だったSUVも走行性能などが高められたことに加え、ドライバーの意識も変わっている。スポーツカーも衰退しているが、所有して運転する楽しさを追求できるクルマも必要だ。
中国製EVが「日本市場で好調」と言い張りたい、本当の理由
中国製EVが各国市場に進出し、新たな脅威となっている。しかし、安全性や品質の面で、日本では受け入れられないかもしれない。それでも日本に進出する理由は、日本で販売していることを手柄にして、新興国市場でブランドイメージを高められるからだ。
なぜテールランプがまぶしいクルマが増えているのか クルマづくりに欠けている視点
前走車のテールランプをまぶしく感じることが増えた。平時にリアフォグランプを点灯するのは問題外だが、ブレーキランプの規制変更によるデザイン性の追求という要因もありそうだ。環境性能や安全性だけではなく、周囲に配慮する工夫もますます必要になるだろう。

