電通、「世界の広告費成長率」を予測 2024年の上方修正の要因は?:市場規模は116兆円
電通グループは、2024年の世界の広告費成長率予測を修正した。前回5月発表の予測から1.8ポイント上方修正し、6.8%の成長を見込む。市場規模は約116兆円となる見通しだ。同グループが世界56市場から収集したデータに基づいて試算した。
電通グループは、2024年の世界の広告費成長率予測を修正した。前回5月発表の予測から1.8ポイント上方修正し、6.8%の成長を見込む。市場規模は約116兆円となる見通しだ。同グループが世界56市場から収集したデータに基づいて試算した。
上方修正の要因 産業別の伸びは?
上方修正の主な要因は、米国、英国、フランス、ブラジルといった主要市場における広告費支出の見通しが改善したためだ。デジタル広告は10.7%増と2桁(けた)成長に回帰し、全体に占める構成比は60.8%に達する。世界的なスポーツと政治イベントの影響も加わり、成長を後押しする結果となった。
地域別では、米州が8.0%増、EMEA(欧州、中東、アフリカ)が6.1%増、日本を含むアジア・パシフィックが5.4%増となり、市場規模の上位5カ国は2023年と変わらず、米国、中国、日本、英国、ドイツとなる見通しだ。
2025年の世界の広告費成長率予測は5.9%、市場規模は約123兆円となる見込みだ。引き続きデジタル広告が成長をけん引し、特にリテールメディアが21.9%増、有料検索広告からのWebサイトへの流入を示すペイドサーチが6.7%増、SNSで実施した有料プロモーションによる流入を示すペイドソーシャルは8.7%増と、大きく成長すると予測する。
インダストリー別では、特にファイナンスが6.7%増、製薬が5.8%増、旅行・運送が5.5%増と大きな成長が見込まれる。対前年比では、2024年に寄与した大型イベントが予定されていないため成長率は減少するものの、世界経済の成長率3.2%を上回る見込みだ。
2026年の世界の広告市場は、5.9%増の約130兆円と予測。2027年も5.8%増となる堅調な成長を見込み、市場規模は約137兆円となる見通しだ。アルゴリズム主導の広告は、総広告費に占める割合が2024年は59.5%、2027年には79.0%に達する。今後のメディア戦略に大きな影響を与え、市場の成長をけん引する要因とされている。
2025年の世界の広告市場を媒体別に見ると、デジタル広告が全体の広告費の62.7%を占め、特にリテールメディアが21.9%増、ペイドソーシャルが8.7%増、広告テクノロジーを使用してデジタル広告を売買するプログラマティックが11.1%増、ペイドサーチが6.7%増と、高い成長率を見込む。
テレビ広告は0.6%増加し、全体の広告費に占める割合は20.6%となる見込みだ。ブロードキャストにおける広告支出は減少傾向にある一方、コネクテッドTVは18.4%増の成長を予測し、今後も継続して2桁成長を遂げると予測した。
新聞・雑誌についてはマイナス2.5%の成長となり、広告費全体に占める割合は5.5%にまで低下すると予想。それ以外の媒体ではOOH(屋外・交通)、オーディオ、シネマが、それぞれ3.9%、1.8%、3.2%の成長を見込んでいる。
2025年の日本の広告市場動向に関しては、前回2024年5月発表の予測2.5%から1.3ポイント上方修正した3.8%の成長を見込む。今後の強い経済見通しに伴いマーケティング活動が活発化し、デジタル、OOH、ラジオ、テレビの各分野で増加する見込みだ。
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