次に売れるクルマは何か? どん底の日産が復活するための道筋:高根英幸 「クルマのミライ」(3/5 ページ)
EVの販売が伸び悩む中、日本国内ではミニバンやSUVが人気だ。特に、使い勝手の良さによって、シエンタなどのライトミニバンの人気が根強い。不調の日産は販売車種の再構築が必要だろう。判断力とスピードが求められる。
SUVの販売傾向は二極化
SUVの人気は高いが、車種バリエーションが多いこともあって台数が分散し、車種ごとのランキングでは上位に上がってこないようだ。ライズの次に売れているSUVが、最も高価なランドクルーザーというのも販売傾向の二極化を感じさせる。つまり残価設定ローンを利用したり、経済的に余裕があったりするユーザーはランクルを好んでいる。それは相変わらずクルマをステータスとし、ヒエラルキーを構築したいと考えているのかもしれない。
一方、ヤリスクロスやカローラクロス、クラウンスポーツなどの正確な販売台数は不明だが、それなりの数が売れているのは確かだ。これらを含めると、50位中23台がSUVである。SUVライクなグレードのあるスバルのレヴォーグや、三菱のデリカD:5などSUVライクなミニバンも含めると半分はSUVと言ってもいい。
ちなみに日産は50位まで広げてもエクストレイルとキックスが入っているだけで、わずか4車種しか人気のある車種がないことが分かる。
日産は実質的にノートとセレナという2枚看板だけで勝負している状況であるため、この2台がランキングに入っているのは当然だが、トヨタとホンダ以外で20位以内に入っているのはこの日産2台とスズキのソリオだけといった状況なのだ。トヨタ以外は、ホンダしか善戦できていない状況であることがよく分かる。
軽自動車の比率が増えている中、普通車だけで比べても分からない、という意見もありそうだが、軽自動車は独自のカテゴリーであり、普通車と比べることはそれこそ意味がない。
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