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「医療用大麻ビジネス」は海外で右肩上がり 日本が参入する日は来るのか:スピン経済の歩き方(2/7 ページ)
12月12日に改正大麻取締法が施行され、注目が集まる「大麻ビジネス」。世界を見ると右肩上がりで成長しているが、日本の大手企業で参入しているところはない。今後はどうなるか――。
乗り遅れている日本企業
では、そんな大きなビジネスチャンスに日本企業はどう対応しているのかというと、毎度おなじみのことだが、ガッツリ乗り遅れている。
今回の法改正で「大麻草からつくられた医薬品の使用」が認められたことで、てんかん病患者が、大麻成分CBDを用いた治療薬「エピディオレックス」を薬事承認後に使えるという大きな成果はある。しかし、現時点で国内大手企業がこの分野に参入したという話も聞かないし、そもそも社会の注目が集まっているとも言い難い。
「日本は日本! 海外のおかしなルールなんて、まねしなくていい。そもそも大麻合法化した国で治安悪化や薬物依存が問題になっていることを知らないのか」というお叱りを頂戴しそうだが、ガッツリ乗り遅れているのは、まさしくそのように「大麻=社会悪」ということを国家を挙げて教育してきたことが原因だ。
それがよく分かるのが、今回の法改正での「厳罰化」である。これまでは大麻の所持や譲り受けは4年以下の懲役だったが、懲役7年に引き上げられた。新たに設けられた「使用」も同じだ。
これまで日本の法律で「大麻は薬効がない」とされてきたのだが、世界的な潮流を受けて「麻薬」という位置付けに変わった。そのため、覚せい剤などと同じ刑罰にそろえられたのだ。
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