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Netflix、「1年間の育児休暇」制度撤廃の報道に対して反論 「個人の裁量を重視」

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HR Dive

 米ウォールストリートジャーナルは12月13日、Netflixが子どもの出生後1年間は「無制限」で育児休暇の取得を認める制度を撤回したと報じた。しかし、Netflixの最高人材責任者(Chief Talent Officer)は、人事専門メディアHR Diveへのメールで「当社は育児休暇ポリシーを縮小していない」と反論している。

育休制度の見直し報道 Netflixの主張は?

 ウォールストリートジャーナルの記事は、Netflixの内部コミュニケーションや現役および元従業員へのインタビューを基にしたものだ。同社が「無制限の育児休暇」という方針を撤回した背景に、財務状況の悪化を受けた「文化的再編」とコスト削減があると述べている。しかし、Netflixの広報担当者はHR Diveに対し、「育児休暇ポリシーは常に『自分自身と子どものケアを最優先に』という内容だ」と主張。さらに、最高人材責任者が今年6月に発表したブログ投稿を引き合いに出し、「判断を従業員に委ねる自由を与えることが、長期的な成功につながる」との見解を再度強調した。


(写真はイメージ、iStockより)

 Netflixは約10年前に「無制限の育児休暇」を導入したが、ウォールストリートジャーナルの報道によると、この制度には発表からわずか24時間以内に調整が必要となったという。同社には、出産後1年間の休暇を保証するよう求める声や、復職後にさらに休暇を延長したいと希望する従業員からの問い合わせが相次いだのだ。

 ウォールストリートジャーナルは、Netflixの人事担当者が内部メッセージで「この制度が出産後1年間の休暇を『出発点』として提供するものではない」と述べたことを引用している。また、Netflixの広報担当者もHR Diveに対し、この4年間で米国の従業員の平均育児休暇期間は約6カ月、米国外の従業員では約7カ月半であることを強調した。

 同社最高人材責任者のブログ投稿によると、一部の従業員が「文化を悪用」したケースもあったが、「個人の裁量を重視することで、非常に成功したビジネスを築けた」としている。

 また、Netflixは出張経費や有給休暇に関する具体的なポリシーを設けていない。「当社の業界では、最大の脅威は創造性とイノベーションの欠如だ。そのため、個々の判断に委ねる自由が長期的な成功をもたらす」と述べている。

 2023年11月に実施された英国の保険会社Willis Towers Watsonの調査(対象企業517社)では、84%が今後2年間で育児休暇や看護休暇を拡充する計画を持っていると回答。例えば、保険を手掛けるQBEノースアメリカは2023年5月、新入社員が初日から12週間の有給育児休暇を取得できる方針を導入した。

 一方で、制度の拡充が進む中でも課題は残っている。2023年の米JUST Capitalの報告によると、米国の大手企業を対象とした株価指数Russell 1000に含まれる企業のうち、主要および補助的な介護者双方に12週間以上の有給育児休暇を提供している企業は全体のわずか10%だった。また、別の調査では15%の従業員が利用可能な育児休暇を全て使い切らない実態も明らかになった。

 現在、米国には有給育児休暇を義務付ける連邦法は存在しない。しかし、過去数年間にわたり、共和党と民主党の双方が導入を目指してきた。次期大統領であるドナルド・トランプ氏は過去に有給育児休暇を支持する意向を示しており、副大統領に選ばれたJ.D.ヴァンス氏も10月の討論会で全国的な有給休暇制度の創設を支持すると述べた。

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