ドリップもサイフォンも、これ1台で実現 タイガー「毎日飲みたくなるコーヒー」開発の舞台裏:透過式と浸漬式(2/5 ページ)
コーヒーの淹れ方には「透過式」と「浸漬式」があるが、1台で両方を可能にしたコーヒーメーカーが登場した。タイガー魔法瓶の「HYBRID BREW」だ。担当者に開発の舞台裏を聞いた。
コンセプトは「毎日使ってもらいたい」
同社によると、コーヒーメーカー市場は家で過ごす時間が増えたコロナ禍をきっかけに2万円以上するハイエンド機の需要が拡大しており、平均単価は2019〜23年度にかけて上昇している。市場は活況を呈しているが、同社のコーヒーメーカーは主力の炊飯器と比べると認知度が高くない。そんな中で発売したHYBRID BREWは、自社のコーヒーメーカーの認知度アップを目的に開発した。
「自宅でコーヒーを飲む人が増えてきていますので、少しでも手軽かつおいしいドリップコーヒーを飲んでいただきたくHYBRID BREWを開発しました」
このように話すのは、ソリューショングループ商品企画第1チームの間谷(かんたに)仁美さん。商品企画、開発、デザインの3部門が2022年秋ごろに集まり、分科会形式で開発がスタートした。
ハイブリッド抽出は、企画時から考えられていたものではなかった。きっかけは、2023年2月に発売したコーヒーメーカー「Siphonysta(サイフォニスタ) ADS-A020」(以下、サイフォニスタ)だ。サイフォニスタは、サイフォンコーヒーの抽出を自動化した製品。噴水のように噴き上がる抽出過程を見ることができ、機能と演出の両面で凝った。
ただ、サイフォニスタのユーザーから不満の声が届いていた。間谷さんは次のように話す。
「サイフォニスタの開発には、幅広いお客さまに浸漬式で淹れたコーヒーを届けたいという思いがありました。ただ、お客さまからお手入れが難しい、杯数が少ない、といった不満の声が挙がっていました」
浸漬式は透過式に比べて豆本来の味をバランスよく抽出できることから、サイフォニスタは味に関しては高く評価されていたが、「パーツが多く手入れが面倒」といった手入れの難しさに関する声が想定以上に多かった。手入れが面倒だと毎日使う気になれない。
そこでHYBRID BREWは「毎日使ってもらいたい」をコンセプトに掲げて、仕様全般やデザインを検討。味もサイフォンコーヒーの味わいを生かして毎日飲みたくなるようなものを目指すことにした。
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