冬でも売れる、ドンキの「置くだけエアコン」 1年中好調な背景に4つの改良点(1/2 ページ)
ドン・キホーテが、2021年5月に発売した「どこでも置くだけエアコン」(店舗上限価格4万3780円)が好調だ。新機能を追加した2024年モデルの販売台数は1万6000台(2024年4〜9月)を突破し、売り上げは予算比122.0%となった。開発を担当した今井潤氏(PB企画開発部)に改良の背景や、次期モデルの計画を聞いた。
ドン・キホーテが、2021年5月に発売した「どこでも置くだけエアコン(以下、置くだけエアコン)」(店舗上限価格4万3780円)が好調だ。新機能を追加した2024年モデルの販売台数は1万6000台(2024年4〜9月)を突破し、売り上げは予算比122.0%となった。開発を担当した今井潤氏(PB企画開発部)に改良の背景や、次期モデルの計画を聞いた。
置くだけエアコンは、一般的なエアコンと異なり設置工事が不要だ。付属の窓枠パネルを使い排気ホースをつなぎ、電源プラグをコンセントに差し込めば、すぐに利用できる。置くだけで使えるので、壁掛けエアコンの設置が難しい部屋や、もともとエアコンがない部屋、ガレージなどにも対応する。
2024年モデルは主に4つの改良を加えた。最も大きな改良点は、暖房機能を追加したことだ。2023年モデルまでは冷房・送風・除湿機能を搭載していたが、暖房機能を加え4種類の使い方ができるようにした。暖房機能を追加した理由について、今井氏は「発売から予想以上に支持されている商品だったため、夏限定ではなく、通年で使用可能な仕様に向上させました」と説明する。
新モデルを投入後、売り上げは急激に伸長したという。「暖房機能を追加したことによる直接的な効果なのかは検証できていません。ですが『夏も冬も1年中使える』と訴求したことが一因だと分析しています」(今井氏)
その他の改良点として、ユーザーからの「もう少し大きな部屋でも使いたい」という声を受けて、冷房出力を前モデルから約20%向上。対応畳数はこれまでの8畳から10畳へと拡大した。
また、窓枠パネルにも工夫を施した。2023年モデルでは対応窓枠サイズが88〜125センチだったので、それ以上高い窓に設置したい場合は別売りの窓枠パネルを購入する必要があった。「購入されたお客さまから『窓枠パネルを長くして設置できる範囲を広げてほしい』という声が寄せられました」(今井氏)。そこで2024年モデルは対応窓枠サイズを88〜230センチに拡大し、べランダ窓などにも対応できるようにした。外に出す排気ホースは虫が侵入しないよう、ホース内に防虫ネットを追加している。
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