連載
突然、普通の街が観光地に! インバウンドが押し寄せる「ニッチ観光地」から考える日本観光のあり方(2/5 ページ)
インバウンド増加で、ニッチな場所が「観光地化」している。それによる観光公害が発生する中、私たちに必要な考え方とは。
「ニッチ観光地」は増えていく?
筆者は、こうしたニッチ観光地は今後ますます増えていくと考えている。
観光産業のニュースメディア「トラベルボイス」によると、インバウンド観光客のリピーター割合は、全体数の増加に伴って増えている。定番の観光地に飽きた人たちが、より「生の日本の日常」を見られる場所や体験を求めるようになるのは自然な流れだ。現に、農家に泊まる「農泊」などのインバウンド観光客向け体験型ツーリズムは、日本各地で増えている。「たくさんの人がメジャー観光地に行く」モデルに加え、「少数のリピーターがニッチ観光地を訪問したり、ニッチな観光体験をしたりする」モデルも増えてきているわけだ。
こうした観光の「質」重視の傾向は、日本政府による「観光立国推進基本計画(2023〜2025年度)」でも明示されている。この計画では、「観光客一人当たりの消費額」についての事項が明記され、たくさんの人に来てもらうことに加え、よりニッチな観光を楽しんでもらう必要性も示されている。
こうした背景もあり、これまでのメジャーな観光地に加えて、日本人でさえ知らないような、あるいは体験したことのないようなニッチ観光が広がることが予想される。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
なぜ百貨店は正月に休むのか 「人手不足」説に隠れた各社の真意
高島屋や大丸松坂屋百貨店など、2025年に都内で元日営業する主要百貨店はゼロになった。要因として人手不足が挙げられがちだが、それだけではない。
単なる「ブーム」ではない カプセルトイ専門店が爆増する背景にある「コスパ」の正体
第5次ブームを迎え、業界全体が急成長している「カプセルトイ」。このブームを支えているのが「カプセルトイ専門店」だ。爆増するカプセルトイ専門店は、なぜそこまで人気があるのか? 今後もこの勢いは続くのか?
「イオンでウォーキングする」文化は流行るのか? 実際に体験して「厳しそう」だと感じたワケ
ウォーキングする場所といえば、公園や遊歩道を思い浮かべる人が多いだろう。こうした中、ユニークな場所でウォーキングすることを推奨する動きがある。イオンモールの中をウォーキングする、その名も「イオンモールウォーキング」だ。
押し寄せる外国人観光客は、本当にカネを落としているのか
インバウンド客の迷惑行為に対する地元住民の苦情が、有名観光地で無数に発生している。この手の話では「写真を撮ったらそのまま帰ってしまって、カネを落としてくれるわけでもないのに迷惑だ」というニュアンスも多分に感じられる。現状、インバウンド需要は経済的に貢献していると、本当に言えるのだろうか。
