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突然、普通の街が観光地に! インバウンドが押し寄せる「ニッチ観光地」から考える日本観光のあり方(4/5 ページ)

インバウンド増加で、ニッチな場所が「観光地化」している。それによる観光公害が発生する中、私たちに必要な考え方とは。

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日本に住む人は、改めて「日本の魅力」を考えるべき?

 では、ニッチ観光地時代の観光公害をどう解決すべきか。実はすでに多くの対応策が試されている。例えば、外国人向け価格の設定や地域内への立ち入り制限などだ。前者としては、京都市が行っている「宿泊税」の導入、後者は白川郷が行う、午前8時から午後5時までの駐車場制限が挙げられる。


宿泊税の導入をした京都市

白川郷では駐車場の利用時間を制限している

 これらの取り組みが先駆的なものであることは間違いない。一方で、筆者はそもそもインバウンド観光客が日本の「何」に惹(ひ)かれているのかを知ることがより大切だと考えている。つまり、日本に住む人自身が、「外国人にとっての日本の魅力」を考えるべきなのだ。すべてを知ることは難しくとも、その解像度を少しでも上げることで、自分たちの生活の場が突然、ニッチ観光地になることへの備えができるのではないだろうか。

 では、インバウンド観光客は日本の「何」に惹かれているのか。それは日本の都市景観に見られる、ある種の「不完全な風景」にあるのではないだろうか。

 例えば、パリを思い浮かべてほしい。その中心部の景観は統一感があり、世界観がある。エトワール凱旋門を中心とした放射線状の都市は整然としていて美しく、多くの人の心を捉える。


統一感のある景色が印象的なパリ

 一方で、日本の景観でウケているのは、おそらくそうした「整然さ」ではない。雑居ビルが立ち並び、電線がもつれ、原色の看板が光輝く、そんな「カオス」な街並みである。東京や大阪を訪れるインバウンド観光客がいるのは、そうした街並みに魅力を感じる人が多いからだろう。新宿歌舞伎町や渋谷のスクランブル交差点、大阪の道頓堀、そして前述の高円寺には、まさにそうしたカオス的風景がよく現れている。

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