脱「牛丼一本足」進める吉野家 カレー、から揚げ、おにぎり、ラーメン、どこまで広がる?:長浜淳之介のトレンドアンテナ(5/5 ページ)
牛肉価格の高騰などを受けて、牛丼一本足打法からの脱却を進める吉野家。今やポートフォリオは非常に多岐にわたる。それぞれの戦略をまとめていく。
「エブリデイから揚げ」を標ぼうする、でいから
一方の「でいから」は、“エブリデイから揚げ”が由来であり、毎日食べても飽きないから揚げを目指したという。コロナ禍で起こったから揚げブームは、既に終焉(しゅうえん)している。そこで、吉野家では一計を案じ、今ブームのおにぎりと組み合わせた。
遠目からも目立つ赤い外観の店内に入ると、レジ前のケースにおにぎりが並んでおり、テークアウトで購入でき、ドライブスルーにも対応する。メニューは、から揚げ定食が基本で、から揚げは4個が基本。3個なら110円引き、最大で6個まで増量でき、220円追加となる。定食はご飯の大盛に加えて「昔話盛」が無料サービスで、通常の2.5倍ある昔話盛ならたくさん食べる人も満足できるだろう。
おにぎりは、1個の最低価格が253円。「から揚げ専用おにぎり」「悪魔のおにぎり」などユニークなものもある。その他、143円の小鉢も9種類販売する。
顧客層は広いようで、平日は男性、休日はファミリー、テークアウトは女性が多い。
以上、吉野家HDで進む、「500円の壁」を破れるメニューと業態の多様化をまとめた。こうしてみると、競合も多く前途多難だ。しかし、既に1社でフードコートを編成できるほどの多種多様な業態があり、他社との差別化の観点から、今後はフードコートをまるごと請け負う出店もあるかもしれない。
著者プロフィール
長浜淳之介(ながはま・じゅんのすけ)
兵庫県出身。同志社大学法学部卒業。業界紙記者、ビジネス雑誌編集者を経て、角川春樹事務所編集者より1997年にフリーとなる。ビジネス、IT、飲食、流通、歴史、街歩き、サブカルなど多彩な方面で、執筆、編集を行っている。著書に『なぜ駅弁がスーパーで売れるのか?』(交通新聞社新書)など。
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