認知症の利用客に、どう対応する? 1万9000人の従業員をサポーターに育てたヨーカ堂の狙い(1/2 ページ)
「認知症サポーター養成講座」を従業員向けに取り入れたイトーヨーカ堂。「来店客に適切な応対を行う」という目的があるというが、同社においてどのような効果をもたらしたのか。
イトーヨーカ堂が、認知症の来店客を想定した施策を強化している。
2014年に導入したのが、「認知症サポーター養成講座」だ。これは厚生労働省が推進する学習会で、認知症の症状や診断・治療、当事者と接するときの心構えについて学ぶというもの。自治体や企業・職域団体などが実施しており、受講を終えた人は、認知症の人やその家族の「応援者」である「認知症サポーター」に認定される。
導入後、イトーヨーカドーの店舗ではどのような変化があったのか。広報担当者に、具体的な取り組みを聞いた。
従業員の不安軽減図る
イトーヨーカ堂では、認知症が疑われる来店客への対応に、従業員が苦慮する事例が多くあったという。例えば、軽度の症状を持つ人の場合は「小銭の計算ができず、お会計が進まない」「急に出口が分からなくなる」といったケースが見られた。
こうした困りごとは当事者にとっても外出意欲の喪失、ひいては症状の進行につながりかねない。そこで同社は、「認知症に関する正しい知識を得てもらうことで、従業員の不安を払拭し、来店客に適切な応対を行う」という目的から、認知症サポーター養成講座を導入した。
同社では、自治体が設置する「地域包括支援センター」(高齢者向けの総合相談窓口)と連携して講座を開催。これまでに全従業員の6割に相当する、1万9000人が受講した。
実施にあたっては、支援センターが用意する「小売業者向け」の教材を使用。受講者は認知症の症状や行動の特性、またこれらに合わせた接客の仕方について、座学・ビデオ研修・質疑応答を通して学ぶ。
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