電通・博報堂をサイバーエージェントが猛追? 広告業界を生き残るヒントを探る(1/4 ページ)
インターネット広告の成長など、変化の激しい広告業界で各社が生き残るにはどうすべきか。電通や博報堂、サイバーエージェントとともにその他の業界の代表的企業を見ながら、ヒントを探っていく。
著者プロフィール
佐久間俊一(さくま しゅんいち)
レノン株式会社 代表取締役 CEO
グローバル総合コンサルファームであるKPMGコンサルティング、ベイン・アンド・カンパニーなどで小売業・消費財メーカーを担当。2022年3月小売業と消費財メーカーの戦略とテクノロジーを専門にコンサルティングするレノン株式会社を設立。著書に「小売業DX成功と失敗」(同文館出版)などがある。
この10年間、年平均で2%の成長を遂げ、2023年時点で7.3兆円規模となった広告市場。市場環境が激変している中で、今回は、広告会社が今後の戦略で求められる多面性についてお伝えしたいと思います。
広告業界「3つの変化」とは
業界に特に大きな影響を与えたのが、次の「3つの変化」です。
(1)インターネット広告の飛躍的拡大
(2)コンサル、ITといった異業種の参入
(3)クライアントが要望するレベルの高まり(データ分析力や内製化力が向上)
これらの変化は、広告会社に「新しい商品が台頭し既存商品がシュリンクしていく」「新たな競合が現れ顧客数が減っていく」「業務負荷増大と低価格化が進み収益性が悪化する」といった四面楚歌のような状況をもたらしました。
いくつかのデータを確認しましょう。
次のグラフは、インターネット広告費と地上波テレビ広告費の推移です。2020年に市場規模が逆転し、2023年には約1兆円の差が開いています。インターネット広告が拡大し、テレビ広告が縮小しているのが明確に分かります。
テレビCMが減少傾向の一方、次のデータからは動画広告の成長が今後も見込めることがうかがえます。
まとめると、紙媒体やマス媒体などを主体としてきた広告会社や、営業スタイルが値引きや接待ありきで、マーケティングスキルで勝負できていない広告会社が、現在苦境に立たされているのです。
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