横浜銀行「AI面接官」を試験導入 背景にあった“課題”は?
横浜銀行は、対話型AI面接「AI面接官」を、オープン・カンパニーやインターンシップの参加者選定プロセスに試験導入する。
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KDDIが経理のオペレーション改革にAIを活用し、得た成果とは。従来の業務プロセスから脱却を図る中で直面した課題、失敗と成功、今後の展望を語る。
横浜銀行は、対話型AI面接「AI面接官」を、オープン・カンパニーやインターンシップの参加者選定プロセスに試験導入する。AI面接官は、採用DXを支援するVARIETAS(バリエタス)社が提供する大手企業向けに設計された採用プラットフォームだ。1月にはキリンホールディングスも本格導入した。横浜銀行は、個々の特性を発揮できる平等な機会を応募者に提供し、データ利活用を通じた採用活動の高度化を目指すとしている。
横浜銀行 どこに課題を感じていた?
横浜銀行は、神奈川県・東京都を中心に、100年を超える歴史を持つ。近年、少子高齢化や人口減少、デジタル化の急進、銀行業界への異業種参入など、金融機関を取り巻く環境は転換期を迎えている。同行は、この時代の変化を「変革と成長の機会」と捉え、2022年4月から「地域に根ざし、ともに歩む存在として選ばれるソリューション・カンパニー」にアップデートすることを掲げた。
2023年度には(1)成長意欲・挑戦意欲を大切にする「人づくり」、(2)多様な人財がいきいきと活躍できる「組織づくり」、(3)個々のWell-beingを起点にした「環境づくり」をテーマにした人財戦略を策定した。
これまで、オープン・カンパニーやインターンシップの応募者選考は、エントリーシートや自己PR動画を中心に実施してきた。しかし選考プロセスの公正性や業務効率が課題となっていた。
横浜銀行が長期的に目指す「ソリューション・カンパニー」への転換を人財戦略で支えていくために、AI面接官をトライアル導入。採用手法の高度化に取り組む。
AI面接官導入により、採用の質の向上を目指す。AI面接官は応募者の回答内容を分析。客観的な評価指標を可視化できるので、主観に左右されない公平な選考が実現できる。エントリーシートをもとに候補者と直接対話できるため、各企業の評価ロジックに沿った適切な選考を短期間で実施することが可能だ。
次に、AIを活用することによって、人間力や潜在能力を多角的に見極めるという。横浜銀行では人材を「人財」と位置づけ、人間力と知識・ノウハウを融合させるための育成に力を入れている。従来の選考手法では、判断が難しかった応募者の潜在的な能力や強みをAIが分析。AI面接官は、成長意欲の高い人財を幅広く発掘する助けになると期待される。
さらに、全国から多様な人財を発掘し、公平な評価の仕組みづくりを促進するという。時間や場所にとらわれない柔軟な面接機会を提供することで、より幅広い人財と出会う可能性を広げ、多様性を尊重した採用を実現する。
横浜銀行は、採用DXを推進することで、より多くの人財に出会う機会を創出し、双方向のコミュニケーションを重視した採用活動を展開する。多様な人財の確保と組織力の強化を目指す。
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