2015年7月27日以前の記事
検索
インタビュー

成田空港で「1本880万円のワイン」を販売できたワケ、知られざる“高級酒”の世界火曜日に「へえ」な話(3/4 ページ)

成田空港の第1ターミナルに、高級酒専門の店がオープンした。店内には数百万円のお酒が並んでいるが、そもそもどのようにして商品を仕入れたのか。担当者を取材した。

Share
Tweet
LINE
Hatena
-

ターゲットは海外の富裕層

 店内に高額なお酒が並んだわけだが、それをどのように販売しているのだろうか。

 NAAリテイリングにとって、高級酒専門店の運営は初めての試みであり、販売のノウハウがなかった。そんな中、白羽の矢が立ったのは、かつて一流ブティックで働いていた鵜澤(うざわ)希さんだった。

 ショップマネージャーに抜てきされた彼女は、どのように対応しているのか。やはり、ターゲットは海外の富裕層である。店頭には10万円、20万円クラスだけでなく、100万円、200万円といったモノも並ぶ。こうしたお酒を購入するのは限られた層になるので、大々的なPRは行っていない。


店内には1万本ほどのお酒が並ぶ

 では、どんな接客をして、認知を広げているのだろうか。高級酒を扱う以上、豊富な知識が求められる。……そう思われがちだが、鵜澤さんによると、それほど必要ではないという。もちろん基本的な知識は欠かせないが、商品の詳細については、むしろお客のほうが詳しいこともあるからだ。

 それよりも重要なのは「雑談力」だという。これからどこに行くのか、どんなライフスタイルを送っているのか、どんなお酒が好きなのか。出発前の限られた時間のなかで、こうした会話を交わすわけだが、それは店内だけにとどまらない。お客が日本を離れたあとも、メールなどで仕事やプライベートの相談に乗って、少しずつ少しずつ「信頼」を築いていくそうだ。

 それは単なる販売員とお客の関係ではなく、長く付き合える“パートナー”のような存在なのかもしれない。そうした関係が生まれることで、ターゲットの富裕層が何度も店を訪れるようになる。そして、彼ら・彼女らのコミュニティーの間で「成田空港に行けば、珍しいお酒を買えるよ」といったうわさがひろがり、新たなお客が増える。こうしたシナリオを描いているようだ。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

ページトップに戻る