「軍艦島ツアー」予約が1.6倍に 10万円プランも売れる観光の変化:『海に眠るダイヤモンド』の舞台(5/6 ページ)
長崎県が誇る世界文化遺産「軍艦島」の注目度が上昇している。日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』の舞台となった影響が大きく、放送開始後の軍艦島上陸ツアーの予約数が急増。現地でツアーの販売戦略などを聞いた。
10万円のプレミアムツアーも企画
軍艦島の人気が高まるなか、2024年11月には、通常のツアーでは訪れられない非公開エリアをめぐる「プレミアム・スタディツアー」(1人10万円)が発売された。
これは観光庁が主催する「地域観光“新発見”事業」の一貫で、軍艦島コンシェルジュが企画・運営している。「GUNKANJIMA PROJECT(G-PROJECT)」と銘打ち、崩壊に向かう軍艦島への理解を広く促すことで島の保全につなげることが目的だ。
同ツアーは島の北側、または南側をめぐる2種類のルートを用意し、上陸時間は2時間40分となる。特別チャーター便に乗船し、1人の元島民ガイドと4人の安全誘導員が同行する。料金には、軍艦島デジタルミュージアムの入館料や損害保険料、端島整備基金への寄付も含まれている。
まずは実証実験の位置付けで、12月8日と15日のツアーを各日10人限定で発売したところ、すぐに完売したという。
「12月は海が荒れやすいため欠航が続き、結果的に予備日としていた9日の1回しか催行できませんでした。日程がズレたため10人中7人の参加でしたが、参加者には非常に喜ばれましたね。軍艦島の写真集や書籍を熟読しているコアなファンの方ばかりで、高額のカメラを持参して熱心に撮影されていました」(久遠氏)
これまで写真や映像でしか見られなかった場所に実際に降り立ち、自身のカメラで好きなように撮影できたこと。その写真をSNSなどに自由に公開できたことが満足度につながったようだ。2時間40分とたっぷり上陸時間を設けたが、それでも「足りない」という声が聞かれたという。
このプレミアム・スタディツアーを本格的に販売するには、実証実験の結果を踏まえた課題の解決が必要になるため、「体勢が十分に整ってから催行したい」と久遠氏は話した。
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