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「外国人観光客=悪」の構図は本当か? ニセコの現実と報道の落とし穴:スピン経済の歩き方(3/8 ページ)
世界中から外国人観光客が押し寄せ、日本が乗っ取られるのではないか――。SNSではそんな心配の声も見られるが、本当にそうだろうか。冷静に状況を見ていると……。
外国人を「悪役」に仕立てるのが好きなマスコミ
冒頭の報道では、あたかも外国人観光客が大挙して押し寄せたせいで、順風満帆だった介護事業所が閉鎖に追い込まれたような「印象」を与えている。しかし実際のところ、閉鎖の大きな理由は、日本がずっと放置してきた「地域の高齢化による若者不足」「介護職の低賃金重労働」だ。
仮にニセコ町に外国人観光客があまり来ないで、日本のどこにでもある過疎化が進むのんびりとした町であっても、遅かれ早かれこの2つの事業所は閉鎖に追い込まれていたはずだ。厳しいが、これが毎年、和歌山県の人口に匹敵する約90万人が減少している日本の現実なのだ。
こういう形でもともと存在している社会問題のスケープゴートとして、外国人観光客を扱うことが実はマスコミは大好きだ。
昨今は、日本人が偏向報道の被害を受けたらすぐにBPOに申し立てることができる。一方で外国人観光客はBPOの存在すら知らないし、すぐに本国に帰るので、隠し撮りされようが、街頭インタビューをどう切り取られようが、文句を言ってくる人はほとんどいない。
つまり、ほぼリスクなしで視聴者や読者の溜飲(りゅういん)を下げる「悪役」に仕立てやすいのだ。そんなスケープゴートの代表的なものが、観光地のゴミのポイ捨てや騒音問題だ。
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