「任天堂VS.株主」見ている未来は違う? 「スイッチ2」に市場が冷めた理由(5/7 ページ)
任天堂は1月、次世代ゲーム機「Nintendo Switch 2」の発売を明らかにしました。発表後、同社の株価は急落したのですが、その背景になにがあったのでしょうか? 任天堂の成長を支えるポイントは……。
ゲーム機を売って終わりではなく、継続的な収益を生む
バリューアクトが指摘した背景には、ゲーム業界全体が過去10年間で大きく成長する中、任天堂の成長スピードがそれほど速くなかったことも影響しています。
ニンテンドーDSやWiiの成功の後、ニンテンドー3DSやWii Uが伸び悩んだことで、任天堂の収益構造がゲーム機のヒットに過度に依存していることが明らかになりました。ゲームソフト売り上げの約7割が自社コンテンツに偏っていたことも、成長の鈍化を招いたと考えられます。
バリューアクトは「優れたコンテンツを持っているのに、なぜこれほど成長が鈍いのか」と疑問を呈し、よりオープンなプラットフォーム化やM&Aを通じた事業拡大を提案しました。特に、Netflixのように自社コンテンツだけでなく、他社を買収・提携することで外部のコンテンツを取り込み、より多くのユーザーに提供する仕組みを構築すべきだと主張しました。
バリューアクトは、過去にマイクロソフトに投資し、SaaS型ビジネスへの転換を促し、企業価値を大幅に向上させた実績を持っています。SaaS型ビジネスとは、従来の「ソフトウェアを一括提供するモデル」ではなく、クラウド上で継続的にサービスを提供し、定期的な課金を通じて安定的な収益を得る仕組みのことです。マイクロソフトは、パッケージ販売が主流だった「Microsoft Office」などをサブスクリプション型の「Microsoft 365」に移行することで、長期的な収益基盤を確立しました。
この成功を踏まえ、バリューアクトは任天堂に対しても、「ゲーム機とゲームソフトを売って終わるのではなく、サブスクリプション型などを活用し、継続的に収益を生むビジネスモデルへの移行が必要だ」と考えたのだと思います。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
7割が「課長」になれない中で、5年後も食っていける人物
「いまの時代、7割は課長になれない」と言われているが、ビジネスパーソンはどのように対応すればいいのか。リクルートでフェローを務められ、その後、中学校の校長を務められた藤原和博さんに聞いた。
「牛丼500円時代」の幕開け なぜ吉野家は減速し、すき家が独走したのか
牛丼の価格戦争――。この言葉を目にすると「懐かしいなあ」と感じる人も多いかもしれないが、いまや「500円時代」の足音が聞こえてきた、といったところでしょうか。牛丼チェーン3社の業績を見ると、明暗がわかれているようで。
「JALとANA」どこで違いが生まれたのか? コロナ禍を乗り越えた空の現在地
インバウンド需要が旺盛で、日本の観光業界が盛り上がりを見せています。では、航空会社の業績はどうなっているのでしょうか。JALとANAの決算をベースに分析したところ……。
なぜ「金の卵」を守れなかったのか 東芝と日立、明暗を分けた企業統治のあり方
半導体大手のキオクシアHDが、株式上場を遅らせると発表しました。キオクシアの旧社名は「東芝メモリ」。「金の卵」ともいえる事業を、なぜ東芝は手放したのでしょうか。