「AIソムリエ」が日本酒を提案、ブロックチェーン技術でお酒の「開封場所」を追跡……酒造DXの“最先端”(1/2 ページ)
長い歴史を持つ「日本酒」。テクノロジーとは縁遠いイメージがあるかもしれませんが、近年酒造業界でもDXを活用して、業務負担の軽減や商品価値の向上に取り組む例が増えてきています。
この記事は、高橋理人氏の著書『酒ビジネス 飲むのが好きな人から専門家まで楽しく読める酒の教養』(クロスメディア・パブリッシング、2024年)に、編集を加えて転載したものです(無断転載禁止)。なお、文中の内容・肩書などは全て出版当時のものです。
お酒とデジタル分野のテクノロジーとは、縁遠いイメージがあるかもしれません。
近年、世の中では様々なデジタル技術が生まれ、経営改革や顧客価値の向上を図る、いわゆるデジタルトランスフォーメーション(DX)は、多くの産業で急速に進展しています。特にAI、IoT、ブロックチェーンなどの技術が企業の業務効率化や新しいビジネスモデルの創出に大きな影響を与えています。
この流れは酒造業界も例外ではなく、実証実験が行われる場合や、実際に導入を開始している企業もあります。酒造業におけるDXの活用事例は、大きく整理すると2つのパターンに整理されます。
1つは、酒づくりや店頭販売の業務負担軽減を目的としたもの、もう1つはお酒自体にフォーカスして商品価値の担保や付加価値向上を目的としたものです。
以下、実際にテクノロジー別にDX活用事例を見ていきます。
AI:KAORIUM(カオリウム)
AI(人工知能)は人間の知能を模倣する技術であり、自然言語処理などを通じてデータから学び、判断する能力を持ちます。最近は、OpenAIが開発した生成AIであるChatGPTが注目を集めています。
酒造業界におけるAIの活用事例の1つは、セントマティック(東京都渋谷区)が開発するカオリウムです。香りを言語化する「日本酒ソムリエAI」で、曖昧で捉えにくい日本酒の香りの印象を、言葉の可視化や人の感性とマッチさせられます。
例えば、「癒されたい」「ワクワクしたい」といったユーザーの気分と店頭にある日本酒とのマッチ度を計算し、相性の良い日本酒が提案されます。その際、画面にはお酒のボトルと共にライチ、白ブドウのような具体的な香りの印象や、すっきり、透明感、といったお酒の印象についても表示がされます。
カオリウムが導入された飲食店や酒屋では日本酒の購入率が上がったというデータもあり、接客DXにつながっています。
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