SNSで度々バズる「食べられる緩衝材」 意外な正体とは(2/2 ページ)
SNSで「食べられる緩衝材」が話題だ。昨今プラ緩衝材からの脱却を進める企業の多い中「食べられる」とはどんな緩衝材なのか。販売している企業を取材した。
地元企業からの引き合いが多い
食べられる緩衝材の年間販売数は、7000〜1万個。SNSでたびたび話題になることで、ECモールや地元スーパーでの知名度が高まる効果が生まれているという。
食べられる緩衝材はどういった商品の緩衝材として使われているのか。
「スーパーの他、ワイン販売店や青果店からの問い合わせがあります。小型ゲーム機の販売店や精密機器メーカーから、非食品の配送に使いたいという問い合わせもありました」(あぜち食品担当者)
中でも同じ県内企業からの引き合いが多いといい、「高知」の文字をデザインした高級ブランドチックな商品を展開する「ブランド高知」も同社の緩衝材を採用している。緩衝材を受け取った消費者からは、ユーモアをほめる意見が多いと担当者は話す。
60年来、市内で親しまれてきたポップコーンを使用
緩衝材として使っているのは「マックのポップコーン」。60年以上の歴史を持つ、同社の人気商品であり、高知市街地の映画館で親しまれてきたポップコーンである。もともとは同じ高知の久保田商会が生産していたが、廃業を機にあぜち食品が引き継いだ。
「生産は昔ながらの方法で行っています。機械ではなく小さなガス直火釜を使い、マンパワーに頼る製造方法です。人の手による製造のため、どうしても塩加減や砂糖の味付け具合にバラつきが出てしまうのですが、そこが『マックのポップコーン』らしさでもあります」(同)
大量生産できれば緩衝材に使われるプラスチックの削減に貢献できると感じたが、製造方法に昔ながらのこだわりがあり、なかなか難しいようだ。今後、食べられる緩衝材としてフレーバーを増やすなどの計画はなく、担当者は「ユーモアを楽しんでもらえれば」と話す。
世界ではプラスチック緩衝材を削減する動きが見られる。アマゾンはエアー緩衝材を完全に撤廃し、紙製のものに統一。ソニーは大型テレビの包装で発泡スチロールを廃止し、生分解性バイオポリマーを使うと発表している。他にも「プラスチック緩衝材 廃止」と検索すると、さまざまな企業の取り組みが見つかる。今後は「食べられる」以外にも、さまざまな形の緩衝材が増えていきそうだ。
著者プロフィール
山口伸
経済・テクノロジー・不動産分野のライター。企業分析や都市開発の記事を執筆する。取得した資格は簿記、ファイナンシャルプランナー。趣味は経済関係の本や決算書を読むこと。 X:@shin_yamaguchi_
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
関連記事
ファミマ、食べられるストロー「コロネクッキー」再発売 ドリンクが売れる夏のプラ削減目指す
ファミリーマートは6月18日から、ストロータイプのクッキー「コロネクッキー」を北海道・東北・北関東・新潟県の約2200店舗で再発売する。昨年8月にも販売し、好評を呼んだ。プラスチック使用量の削減につながる商品として、アイスドリンクの需要が高まる夏に向け訴求する狙いだ。
食べ放題の「残してしまう」問題、どう解決? 「しゃぶ葉」が始めたユニークな方法
しゃぶしゃぶ食べ放題のチェーン「しゃぶ葉」が、食品ロス削減のため、新しい方式を導入した。その背景や狙いについて、担当者に聞いた。

