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給料上がった職種は? 中小企業に転職後の給料、2019年比で増加リクルートエージェントの調査

中小企業への転職で「賃金が1割以上上がった」と回答した人が2019年比で増加した。なぜか? また賃金が増えたのはどのような職種で多かったのか?

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 大企業の賃上げの動きが中小企業にも波及するかどうかは、日本経済にとって重要な問題だ。2024年の春闘では、大手企業の賃上げ率が5.19%だったのに対し、300人未満の中小企業では4.45%と、差が見られた。

 しかし、中小企業に転職したことで、1割以上賃金が増えた転職者も少なくない。リクルートが同社のサービス「リクルートエージェント」のユーザー動向を分析したところ、中小企業への転職で1割以上賃金が増えた転職者の割合の推移は、2019年度の30.1%から、2023年度には35.4%まで上昇した。直近では大企業と比べて賃金が増えた転職者の割合が高くなっているという。


リクルートエージェントにおける、前職と比べ賃金が1割以上増加した転職者の割合(画像:以下、プレスリリースより)

 リクルートは「自社の将来を左右する戦略分野の人材を確保するため、求職者に選ばれるべく魅力的な賃金を提示する傾向にあるといえる」とコメントした。

どんな職種で賃金が上がっている?

 先述の賃金が1割以上増えた転職者の割合を5つの職種別に見たところ、最も高かったのは「接客・販売・店長・コールセンター」で、40.2%に上った。ホテルなど観光関連企業への転職が目立っており、新型コロナウイルス感染症の収束後、旅行需要が高まったことを背景に、人材ニーズが高まったためとみられる。

 以降「IT系エンジニア」(38.9%)、「営業職」(34.0%)と続いた。最も低かったのは「機械・化学・電気エンジニア」(30.9%)だったが、転職者の3割以上で賃金が1割以上増加していた。


前職と比べ賃金が1割以上増加した転職者の割合(中小企業、職種別)

人手不足が深刻 なのに、採用できなかった理由は?

 日本銀行が公表している全国企業短期経済観測調査(短観)の雇用人員判断指数(DI)は、2024年は大企業がマイナス28ポイントで、中小企業はマイナス37ポイントだった。企業規模を問わず人手不足感は強いが、とりわけ中小企業はより深刻な状況がうかがえる。

 人手不足は深刻だが、応募者が求める条件と折り合わず、採用できないケースも少なくない。リクルートが2024年3月に実施した「中小・中堅企業の事業課題・人材課題に関する調査」によると、中小企業と応募者の間で折り合わなかった内容として回答が最も多かったのは「賃金水準」(45.5%)だった。


企業と応募者の間で折り合わなかった内容

 賃金・報酬制度の変更や見直しの必要性を感じている企業は52.3%に上るが、このうち実際に見直しが「できている」「ややできている」との回答は32.7%にとどまるという(参照:リクルート「企業の人材マネジメントに関する調査2023」)。


賃金・報酬についての見直し

 賃金・報酬制度に関する具体的な取り組みと、採用との関係を分析したところ、採用できている企業は、社外にも目を向けた賃金・報酬制度の見直しができていることが分かった。採用できている企業では「業界や外部労働市場の賃金・報酬水準をモニタリングしている」割合が59.2%だったのに対し、採用できていない企業では31.6%にとどまる。「社内外の状況に応じて、定期的に賃金・報酬水準の見直しを行っている」割合も、採用できているでは57.6%だったのに対し、採用できていないでは31.9%だった。


賃金・報酬制度に関する具体的な取り組みと採用との関係

 調査は、リクルートエージェントでの求人やサービスを利用して転職した人の求人データや転職者データを分析した。期間は2024年12月〜2025年1月。

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